131.狭間/邂逅
「おー! 兄ちゃん! 来たんだね!」
「=うん。いらっしゃい。うん」
ファブリカの腕は、先程のような違和感なる形状はしておらず……。
また別の形状、元のものへと戻ろうとしている様子が、見て取れた。
「お待たせしました。……その、それはやはり戻るのに時間が?」
「そうそう! 一度に沢山のことが出来るようになるから便利なんだけどー、その分展開に時間が……それに戻るまでも時間が掛かるから戦闘向きではないよね!」
「=うん。久しぶりに使えてよかった。うん」
「なるほど……冷却期間が存在するということですね。……はい、お願いします」
手にした羽織の口をすぼませ……。
オリヴァレスティが保持する袋の中へと魔鉱を入れる。
中を見れば、幾らか溜まっていたので、既に誰かが運搬を行ったのだろう。
「うんうん! んー、まだまだかな! もっと持ってくるんだ! 私の分もね!」
「=うん。急ぐのだ。うん」
「分かりました。では、待っていてください」
「はいはーい! またねー!」
第一陣の運搬を終え、回収作業に区切りを付けた。
私は、オリヴァレスティを背に再び作業地帯へと戻る。
手の付けていない地点を探しては赴き……。
羽織にて回収、運搬を行い、オリヴァレスティの元へと向かう。
その連続を幾らか繰り返せば、自身の担当する区域に魔鉱が無くなる。
いざ完了かと若干の心地良さを孕ませながら。
羽織を着、オリヴァレスティの元へと移動する。
……いつの間にか手の平は赤く染まり。
啄むようにして動かしていた腕は、小さく痙攣していた。
「……おお、オネスティ。終わったか」
「おつかれー! 頑張ったねー!」
「ご苦労さまなのですよ」
「兄ちゃん! おつかれ! その道具、いい判断だよ!」
「=うん。運搬の革命。うん」
「……皆さん。って、と言いつつも、私が最後ではないですか」
「あははー! 慣れってやつさー!」
「やめなよー! 兄ちゃん頑張ってたんだし!」
「=うん。おつかれ。うん」
「そうだぞ。お前達だって言うなれば素人同然じゃないか。……なあ、オネスティ?」
「集めることに関しては皆さん、目的が一つですからね。……いいと思いますよ」
「……? そうか、そうだな。それでは無事、魔鉱も集まったことだ。これより王国へ────」
────『あのー、もうよろしいでしょうか?』