表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
131/219

130.期待/主軸


「すみません。ここに落ちているのが、その、魔鉱ということで合ってますか?」



「ああ、正しい。これこそが、魔鉱だ」



「あの、このような形をしているのって」



「まあ、そういうことなんだろうな」



「人間……ですか」



「組成は異なるようだが、形状は人間のもの。魔鉱を生み出すには人の体を通過せねばならない……。あまり考えたくはないな」



「そうですね。……今は、これを回収することが先決でした」



「ああ、そのような理解で有難い。手一杯になったら運搬、オリヴァレスティの元へと向かい、また回収その連続なる動きを期待する」



「……分かりました。それでは、失礼します」





イラ・へーネルからの言葉。

恐らく彼女は何故、このような特異なる形状をしているのか知っている。



だが口にはしない、故にそれが答えなのだろう。



魔鉱が、いくら馴染み親しんだ形状をしていたとはいえ……。

回収せねばならない存在には、変わりない。



そう割り切った上で、回収作業を迅速に行うことこそが、この場所より離脱する最善の方法であり、誰しもがそれを望んでいるに違いない。



イラ・へーネルの言葉によって各場所へと向かったダルミやファブリカの表情は焦りと悲愴、後退的な喜びを孕んでいたからだ。





・・・・・・





私はイラ・へーネルの言葉通り、自身の位置。

そこから変わらぬ地点から回収を始めることにする。



探すために歩くなどといった行為の重要度が下がる程に転がっている魔鉱を眺めながら、決心をつけてその場で羽織を脱ぐ。



着ていた服を袋のようにし、そこに魔鉱を溜める。



枝についたままであれば引き剥がし……。

地に埋もれていれば掘り起こして回収をする。

さながら墓所荒らしの様相(ようそう)に引目を感じるが、そうも言っていられない。



効率、運搬、回収。

それらを主軸に据えて、安静を図る。



今行っている自身の行い、行動こそが効率の良い運搬方法だとし、ある程度隙間の埋まったところでオリヴァレスティの元へと向かう。



全てを埋めるなど、到底叶わない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ