122.阻害/栄転
幾らか続いた先導、合図、移動、によって通りを進行し、最終的にはオリヴァレスティの合図間隔が短くなることによって、浮かべた予想よりも早く「対岸」へと到着することに……成功した。
「辿り着いたなファブリカ、オネスティ。良くやった。これより帝国統合施設へと侵入する」
「帝国統合施設……」
イラ・へーネルによって示された、新たなる単語について。
私は……溢れるように、口にした。
壁沿い、その施設に沿って一列に立っている私は、依然として目的地がどのような名称なのか知り得ていなかったのだ。
「おお、そうだ。オネスティにとっては何もかもが新しいことだな。我々がこれより向かうのは魔鉱を生み出す施設、そう説明すれば分かるだろうか」
「……はい、何となくではありますが」
「ああ、といっても私以外は、初めてだがな」
「そうそうー、普通じゃー入れないからねー!」
「そうなのですよ。防術塔が機能していれば統合施設はおろか、帝国にすら入れないですからね」
「そうだよね、やたらめったら行くようなところじゃないしね帝国も、この場所も」
「=うん。魔鉱は重要だけど、その存在は歪。うん」
帝国統合施設。
その存在について知り得ているのはイラ・へーネルのみであり、帝国についても目的無しに赴くほどではないそうだ。
私だけがこう……背にしている施設について無知であることは何ら集団内において問題はない事が示されたが、かえってその他の情報が得られないという点においては不安感は募るばかりである。
この先にて生成される「魔鉱」について知り得ていることはないが、オリヴァレスティが小さく口にした言葉には気に止めて置く必要があると思われた。