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099.最終/調整


「では。手筈通り、射出を。どこで誰が見ているか分からないからな」



『え』



「ファブリカ、オリヴァレスティ。私はこれより最終調整をシュトルムと行う。今後についてはダルミから報告がある、頼んだぞ」





そう言い残して、ダルミに「終わり次第呼んでくれ」と告げた後。

団長とシュトルムは奥の間へと消える。



それを受けたダルミは、二人が完全に姿を消したのを見計らって、未だ距離のある私達との位置を詰めるように迫る。





「皆さん、それでは今後についてお話しするのですよ」





依然として「堅牢なる面」を着けているため……。

その表情の詳細は、距離が縮まったとはいえ、不明瞭だ。





「まってダルミー。シュトルムさんの任務に協力したってのは分かったんだけどさー、少しくらい言ってくれても良かったんじゃないー?」



「そうだそうだ! 危うく大変なことになるかも知れなかったのに!」



「=うん。思念伝達にて、その外枠のみでも……。うん」



「私もそう思ってたのですよ。ですが……良くない影が映ったのですよ」



「……良くない影ー?」



「そうなのですよ。多大なる反応にて報告へ向かった私達は、シュトルムさんから作戦概要を説明されました。それから一旦外に出て、魔術士が視認出来るところから『捕まる』という演技をし、再びここへ戻ってきたのですよ……そこで……思念を共有しようとしたのですけど……」



「もしかして……阻害?」



「恐らく、魔石系であろうと推測されますよ」



「=うん。だからあの時、音が途切れ途切れだったんだね。うん」



「けどー、魔石による阻害ならー、増幅の調整によって回避可能だと思うんだけどー?」



「その通りなのですよ。今回も回避を行い伝達を行うことは出来ました。しかし……その時は状況が、不明瞭かつ流す内容が秘匿性の高いものなので……特にそのオネスティさんにですよ」



「……私、ですか?」





突如告げられ、含まれていた私の名前。

シュトルムから伝えられた任務に協力し、その概要を思念伝達にて行おうとするも……阻害によって叶わないらしい。



そのような状況の中で、今回に至っても私が「関与」しているのかと。

若干ではあるが、猜疑心(さいぎしん)を抱き、増幅させていた。





「はいー、今回の任務は、オネスティさんが所持した魔術槍の戦闘情報を記録し、後に使用される柱型魔術槍の基盤とするのが腹案として存在したのですよ。なので、共有対象ではないことを考え、思念伝達における報告は行われるべきでしたのですよ」



「率直な情報を得られるために、ですかね」



「そう考えるとー、誰かが意図して戦闘行為を誘発したかのように聞こえるけどー?」



「そうだね、ダルミ。説明お願い」



「=うん。阻害によって報告が出来ず、腹案の為にも報告は勧めるべきものではない。けど、思念伝達が行われた時、それは緊急事態を告げるものだった。うん」





確かに。

思えばトーピード魔導騎士団の拠点内にて警報にも似た音声が反響し、思念伝達を受ける彼女達をこの目で確認していた。



先程までの話は阻害、そして私への情報開示を制限した点であるが。



結果、王国内にて思念伝達を受け……。

緊急事態であることを念頭に、ここまで進行を重ねた。



団長が言うように。

魔術士がターマイト戦略騎士団の装甲に張り付き対処が出来なくなった。



故に緊急事態を伝えたとのことであるが、そこで私を除いた「共有対象者」に本来の現状を告げないのは、明確な理由があるのだと考えられる。





「先程、良くない影。そう言いましたですよね。というのも事態の悪化に伴い、阻害が薄れつつあることもあり、本格的に報告を行おうとした時……第三者の介入に気付いたのですよ」


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