9 初戦闘
ダートヴィートに乗るパイロットは笑っていた。あくまでも今は戦闘中だ。しかし彼には余裕があった。戦力差で勝っている上、機体の性能でも勝っているからだ。だが、彼は知らなかった。いや、知っているはずがなかった。彼らイグラートのパイロットの技量を。
「敵か·····立てたけど戦えるか?」
アッドはそうやって自問自答した。初めての操縦で、初めての実戦、それが圧倒的な性能差のある敵となると、普通は戦えるはずがない。普通、の場合だ。アッドは元々こういう事が意外と得意であった。素早く機体を立ち上がらせ、そばに落ちていた剣を拾った。
「剣落としたりしないだろうな·····」
アッドはそう心配しながら戦いを始めるのであった。
「こいつを食らえ!」
ダートヴィートのパイロットはそう叫びながらアックスを降り下ろした。それをギリギリのところで回避するアッドのイーヴァント。恐ろしい。動きは遅いが出力が桁違いだ、とアッドは思った。あのアックスが掠るだけでイーヴァントの装甲は砕かれるだろう。接近戦は危険だ、と判断したアッドはすぐに距離をとった。が、その直後ダートヴィートの左手にライフルが握られていた。しまった!と、その事に気づいたアッドだが、回避がわずかに遅れた。その隙を狙ってライフルを撃ってきた。ライフルの弾が右膝の装甲に直撃した。そうして怯んだアッドのイーヴァントにライフルを撃った。弾は右側のメインカメラを直撃した。
「ど、どうだっわれらラグナ王国のアームデラートの力はっ!」
ダートヴィートのパイロットはそう言ったが、内心焦っていた。アックスは避けられ、ライフルも二発しか当たらなかった。ただの子供がこのように操縦できるはずがない。だが彼は途中でその事を考える事をやめた。
「·····次は、倒す。」そう言ってアックスを握り直させた。
「カメラに直撃か·····モニターの3分の1がみえないのか。」
アッドは少し焦りながら機体を立ち上がらせた。近距離では出力で負け、遠距離でも射撃によって負けている。「ヤバイな」と思いながらアッドは剣を握り直させた、そのときアッドは見つけた。そう、イーヴァントの持つ剣の根元に大きなひびが入っていた。さらに状況は悪化しているとおもわれたが、アッドはまたしてもあり得ない行動をとった。
「いっちょ、これに賭けてみますか。」
そう言ってイーヴァントを走らせた。向かう先はダートヴィートのいる方向だった。
「こいつは何を考えている。」
ダートヴィートのパイロットは、こちらに走ってくるイーヴァントに疑問を浮かべた。出力で負けていることは相手も知っているはずなのだが、何故か接近戦を挑んできた。
「まあいいさ。向かう手間が省けるからな!」
まずい·····投稿遅れた。まあ見る人いないしいいか。