6 戦士として戦う
オーヴァーの乗るイーヴァントは地面に倒れこみ、アスファルトが砕け散っていった。オーヴァーの目の前にはダートヴィードがライフルを向けていた。必死に左手で防ごうとしたが、操縦桿をどれだけ動かそうとも全く左手は動かなかった。その時リグドのイーヴァントタイプBの攻撃によりダートヴィードが態勢を崩した。
「オーヴァー、無事か!?」
通信回線でリグドが呼び掛ける。しかし目の前には敵がいるためむやみに近付けない。迷っているリグドにダートヴィードが攻撃を仕掛けた。やむを得ず攻撃を正面から迎え撃ったリグドだが仲間からの衝撃的な通信を受けた。
「り、リグド隊長!オーヴァーが、オーヴァーが逃げ出しました!」
「なんだと!?」
仲間から送られてきた映像に目をうつすと、コックピットから逃げ出すオーヴァーの姿ががあった。
「オーヴァー、やはり初戦闘がこれでは逃げ出したくなるかもしれんが、我々は市民を守る役目がある·····勝手に逃げ出すなど· · · 」
そのとき逃げ出したオーヴァーに気づいた敵機がリグドのイーヴァントを凪ぎ払い、オーヴァーに狙いを定めた。
「やめろーーー!」
そう叫んだリグドだったが、ダートヴィードは容赦なくオーヴァーに攻撃した。
一発、ライフルを撃つ音が響いた。
「オーヴァー!」
オーヴァーの姿は原型を留めていない肉片と化していた。
仲間が一人死んだ。しかしリグドは落ち着いていた。
「二対二か· · · 厳しいな。」
残っているエルダーとリグドのイーヴァントは軽い損傷で済んでいた、しかし機体の性能では圧倒的に不利な状況であった。さらにそこへ追い討ちをかける様に大きな足音が聞こえた。
「敵の増援か!?」
増援はたったの一機だった。しかしこれで、リグド達はさらに不利な状況になっていた。
「二対三か· · · · · 」
そこには撤退するという手があった。しかしそれは、リグド達は助かるが、そこに住む市民を見捨てるということになる。その様なことは市民を守る兵士としてしてはならない行動だった。
「これが····最善か。市民を守る戦士として、ラグナ王国軍を撃退する。行くぞ!エルダー。」
「了解しました。リグド隊長!」
二人は圧倒的な力の差のある敵に、一歩も退かずたたかった。そこで彼らは、目を疑う様な光景を見ることとなった。
深い文章って難しいんだね。