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俺の故郷が異世界だったんだが  作者: シュガーsun
4/6

決意

 「ちくしょー!覚えてろ」

 いかにも三流臭いセリフを目の前の金髪の少女にはいた男達は、一目散に逃げていった。

 「……この前もそういってたじゃない」

 そうつぶやいた少女は、振り向くと手を伸ばす俺の前に目線をそろえるように腰をおろした。

(…顔が近い)

 金色の目で俺の顔を眺めている少女は数秒そのままでいるとハァ~とため息をつき立ち上がった。

 金色の髪に金色の目をした少女は少々興味深い恰好をしていた。

 上は白のブラウスに赤いリボン、下はチェックのスカートにニーソックスと少し底の高いローファーを履いていた。

 それに光沢のある皮のスクールバックのような物を持っていた。

(…女子高生?)

 そう思わずにはえなかった。

「なにをそんなにジロジロ見てるの?」

 しばらくじーっと見ていたのでそう尋ねられる、我に返った俺はあたふたしながら返答する。

 「…そ、その恰好は?」

 少女は自分の恰好を見た後、やがて思い出したような顔をして説明しだした。

 「これは、セントリア学園の制服よ、その名前どおり都市セントリアにある学園のね。見覚えある?」

(似たようなのは見たことあるが少し派手だな…それにこの世界にも学校があるとは)

 俺はそう思いながら首を横にふった。

「ふ~ん覚えてないんだ、ちょっと寂しいな…」

 そう言った彼女の言動からある事が浮かんでくる。

「あなたは一体?」

 少女は少し寂しげな表情でこう答えた。

「私の名前はアリス、あなたの、その…親友だった人よ」



 俺はアリスに連れられ飛び出してきた酒場に戻った。

 ボロボロになった俺を見た二人は慌てて俺を医務室らしきところにつれていくとベットに座らせた。

「痛っ…!」

 消毒液のようなものを傷口にたらされ沁みた。

「たく、どこで傷つくってきたんだか。…ほら、終わったぞ」

 俺は、今どんな有様なんだろう?とベットの横にあった鏡をのぞいてみた。

(…治ってる)

確かにあったはずの傷はすっかりキレイに治っていた。

「どうかしたのか?まだ傷あったか?」

「いや…なんでもない」

 傷が一瞬で治ったことなど当たり前のようだった、しばらく元の世界とは少し変わった自分の顔を眺める。

(俺はこれからどうすればいいのだろう?帰るにもどうしていいのやら)

 俺はふと思い出し、近くに立つガイルに聞く。

「俺が…じゃなくて、シロがあんたにもう一つの世界について話したようだったけど、なんでもいい、なにか知らないか?」

 少し思い出すように考えるガイルの返答を待つ。

「俺が知ってることはただそうゆう世界が存在するってことだけだ、それ以外は何にも」

「そうか…」

 俺は一度深くため息をついた。

 でもだいぶ落ち着いてきた、現状の整理もできてきた、これからどうすればいいか知るにはもっと情報が必要になるだろう。

「…頼みがあるんだけど」

「なんだ?」

「俺にこの街を案内してほしい」


──なんであんたなんだよ。

 その恰好じゃ目立つと服を着替えさせられ、準備を整えた俺は案内人を見てそう思った。

(…俺はガイルに頼んだつもりだったんだけどな)

 隣に立って歩くのは金髪の少女アリスだった。

 颯爽と歩く彼女の隣を歩くのはいささか肩身が狭い。

 とゆうのも道行く男達の視線が俺を刺すようににらんでくるからだ。

 指名手配されていることを考えれば当たり前ではあるのだが、現在顔は見られないようフードを深くかぶっているしその理由は、明らかにアリスのせいだったからだ。

 彼女にその気がないにしても、誰がどうみても美少女だろうとゆう彼女の横を歩くのは嫉妬の対象になること間違いなしだろう。

「どうかしたの?」

「いや…なんでも」

 俺はそんな感じで次々と彼女に街を案内してもらった。

 異世界の観光名所になるであろう場所を回っているとき人通りは少ないがどこか活気のある商店街で足をとめた。

「ここは?」

 そう聞く俺をよそにアリスは立ち並ぶ店で果物を売っているおばちゃんともとに歩いて行った。

「リンゴふたつください。」

「まぁ!アリスちゃん、また一段と綺麗になって」

 知り合いらしい、なにやら親しげに話している。するとその視線がこちらにむいた。

「あの人はなにもんだい?」

「きっとビックリしますよ」

 そういって彼女は俺が深くかぶっていたフードを外した。

「っておい!なにしてんだ」

 俺はすぐに被りなおし顔を隠す。

「なにやってんだいシロ、この辺にあんたを売るやつなんていないよ、ほらリンゴでも食いな」

 そういわれおいしそうな赤いリンゴを手渡される。

「ど、どうして?」

「どうしてっていわれてもねぇ…アリスちゃん一体こいつどうしちゃったんだい?」

 困惑する表情でそうアリスに聞く。

「どうやら記憶喪失みたいで」

「記憶喪失?本当かい?それは困ったね、おい皆どうやらシロが記憶喪失らしいよ」

 果物屋のおばちゃんは周りの人たちにそう声をかけた。

(おいおい、やばいんじゃないの)

 心配する俺をよそにアリスのほうはなんともなさそうだ、なにやらおばちゃんと話して笑っている

 俺のまわりにはたくさんの人だかりができて「俺のことも覚えてないのか?」とか「それは心配だなぁ」とかなかには「こんど釣りにでもいくか?」といった声が聞こえてくる。

 そろそろ行かないと、と周りのみんなにまたねと告げるアリスについていくようにして俺もその場を離れた。


「一体どうゆうことなんだ?俺は指名手配されている反逆者じゃないのか?」

 そう騒がしめに問う俺をよそに涼しげにアリスは答えた。

「あなたはこの街を救おうとしていた、それはこの街に住む皆がしっていたことよ。王政がいくらあなたを反逆者と罵ったって誰も信じやしないわ」

「…俺がこの街を救おうとしていた?なんで?それに俺が何に反逆したんだ?」

 アリスはふうっと一息つくとこう答えた。

「反逆についてはよくわからないわ、手配書にも詳しくは記載されてなかったから、ただこの街を守ろうとするあなたが邪魔だっただけなんだと思う …ちょっとついてきて」

 そう言われ、少し足早になるアリスについていく。

「ここは?」

「あなたの一番おきにいりだった場所よ、さっきあった人達が住んでた場所でもある、今はこうなちゃってるけどね」

 周囲は家屋が崩れ、がれきが積み重なり、火に焼かれたような焼け跡がいたるところに見えた。

「あなたがこの街を救おうとしていた理由だけど、私も本当のところは聞いたことがないの」

 アリスはそう話しだした。

「普通ならただ許せないだからとかそんな正義感からなのかもしれないけど、あなたに限ってそれはなかったはず」

 そう思い出すようにクスッと笑う。

「あなたはいつもマイペースでわがままだったけどきっと人一倍この街が好きだったんだと思う。だから自分の好きなものに手をだされるのが我慢できなかったんだろうね、いつもやってることはすごいのにその理由はどこか子供っぽくて…でも皆そんなシロのことが大好きだった」

 先ほどの人達のことを思い出す、春風秋人があれほど人に好かれ、関わったことがあっただろうか?

 夕日が沈む中俺はこの時決心した。

「決めたよ」

「決めたって、何を?」

 アリスは俺にそう問いかけた。

「あんた達にとっては矛盾してることかもしれないけど、俺はこの世界でシロとして生きるよ」

「一応聞くけどどうして?私たちに好かれたいからとか?」

 少し笑みを浮かべながらそう聞いてくる。

「まぁ、それもあるかもしれないけど、ただシロとして見てきた世界はきっと今の俺の瞳には映らないものなんだと思う、俺にはないその景色を見てみたくなっ

たからってのが一番の理由かな」

「ふ~ん」

 長かった一日が終わろうとしていた、沈んでいく夕日もその瞬間を迎えようとしている。

「じゃあさ」

 アリスがそう口にする。

「なに?」

 俺はそう答えた。

「また、一緒に学校いこっか」

 俺はその学校とゆう単語に愕然としてしまった。

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