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はじまりスネーク
夢の中で見た映像を元に綴る。
深い夜、白い霧の中。三匹の蛇がとぐろを巻いていた。
「わたし達は、蛇です」
真ん中にいる真っ黒な蛇が口を開く。
「わたし達、人間をたくさん食べた」
続けて右側にいた真っ赤な蛇が喋った。
「たくさん食べて、食べて、しばらくしてあることに気がついた」
左側の真っ白な蛇もゆっくりと首をもたげる。
「わたし達の中に、心が芽生えたのです」
「そして不思議なことが起こった」
「誰かを、愛したくなった」
「人間は蛇が大嫌いです」
「わたし達、人間が大嫌い」
「だけど、それでも、大好きになりたくなった」
「大嫌いだと言われても」
「だから、わたし達、決心した」
「人間の世界に侵入すること」
「そこで、愛を探すこと」
「私たちは、誰かを愛したい」
「骨の髄まで」
「最期まで」
黒い夜、冷ややかな静寂の下で、血に飢えた獣の眼が光る。