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金色の 菜の花畑の 向こうから    作者:
第4部 第1章 私は願っている
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私は願っている  6

私は願っている  6



私の頭は混乱している。

倫太郎君じゃなくて倫太郎君であるからだが嫌な気配を漂わせて立っている。

影や井部先輩と何か言い合っているようだが私には内容が分からない。


鏡?魔境だわ・・こんなところに・・映っているのは悪魔?何?

鏡から嫌な気配が漏れ出ている・・・もしかしたらこの鏡こそが元凶なの?


 おまえたち,みんな簡単に善だ悪だというんじゃない

 俺たちゃなにも知っちゃいないんだぜ

 本当の悪とは何だと思うんだ?

 本当の善とは何だと思うんだ?

 俺と一緒に考えようじゃないか


 俺たちは何だ,善だ。

 おまえ達は何だ,悪だ

 全部一つになり

 全部二つになる

 俺と一緒に考えようじゃないか

 本当の善とは何なんだ


あの詩が聞こえる・・・まるで呪文のように繰り返し繰り返し・・・あの鏡から。


どうしたらいいのかしら?


光、光。


私は必死に呼びかける。倫太郎君どこ?どこにいるの?


倫子ちゃん・・・


どこかからかすかに聞こえる。倫太郎君の声だ。

どこ?


ヨワッテイル デモ ミツケテモラッタ 

カゲノナカマガ ココニ ツレテクル


光・・・ありがとう。


ふと気づいた。あの神官は銃を持っている。

ああどうしよう!!!

神官の一人が影と井部先輩に銃を向けて何か言っている。何を言っているの?

銃を下ろしたわ。倫太郎君の体が嫌な笑い方をしている。いやっ・・・


がたん。倫太郎君の気配。私はドアに走り寄ろうとした。

影が私を引き留める。いやよ!!


叫びが体から光となって四方に照射された。

神官達が倒れていく。


ドアが開き,一人の老人が何人かの人と一緒に入ってきた。今にも倒れそうな老人。

「倫太郎君!!!」

私は今度こそ本物の倫太郎君に駆け寄った。



倫太郎君の体と神官達はゆっくり立ち上がる。

 老人と一緒に入ってきた者達は,影の仲間のようだった。神官達を次々と拘束していく。


「やってくれたな。」

 倫太郎君の体が憎々しげに言う。

 影はすかさず倫太郎君を押さえ込もうとする。


・・・・・ 


でも・・・ゆっくり立ち上がった倫太郎君の体の手には・・銃だ。

その銃を私に向け・・・・・・

「わしの物にならないおまえには用はない!!」

私は叫ぶ

「いやっ」

再び光。

それと一緒に銃が私に向かって発射される。


ずぎゅーんと言うような音。突き飛ばされた私。誰かが倒れる音。


・・・・・


撃たれそうになった私を突き飛ばすようにどかして代わりに撃たれたのは老人姿の倫太郎君だった。


次回,最終回です。

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