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金色の 菜の花畑の 向こうから    作者:
第3部 第2章 私は歩き出す
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私は歩き出す 10

 もう学園には外つ国からの密偵や潜入者はいなくなったと言うことで,明日から私は私に戻れることになった。

だが,黒い渦を生じさせた者が誰か,また黒い渦の原因は何かなどまだ分かっていないことが多いので,油断は禁物だ。もしかしたら,私たちの計り知れない何かが働いていると言うこともあり得る。


明日はもう金曜日。

私も風邪と言うことで3日間も休んだので,みんな心配してくれているんだろうな。


 寝る支度をしてから,いつものように倫太郎君と連絡を取ろうと思う。大体倫太郎君から連絡は来るのだけれど。今日はこの時間になっても連絡がないから・・久しぶりに私からの連絡だ。

 このくらいの時間だと,まだ夕食の前か,夕食後のこともある。今日は?


 呼び出しても出ない・・・。

 仕方がない。移動中かもしれない。明日はもしかしたらロザリアへ行くことになるって言っていたから。ロザリア・・・どんな国だろう。

・・・英田さん・・・。本物の英田さんはどんな人だったのだろう。何とも言えない気分になる。



この夜は,結局倫太郎君と話すことは出来なかった。光も何も言わないし・・・大丈夫だ。・・・でも連絡が取れないと不安になる。

 汎国・・華国・・・ロザリア・・・どれもなにかありそうな国だ・・・ その国々に滞在していると思うだけで・・・不安なのに・・・



翌朝は,よく晴れていた。車寄せのところに行くと,広川さんが待っていた。

「おはようございます。」

「おはよう。倫子ちゃん。いつも通りと言うことなので,ここのところずっとしていた通りにしてみたの。」


 車の中ではあまり詳しい話は出来ない。大丈夫だとは思うが,運転手さんがどんな人なのか分からないからだ。仕切りを下ろして話してもいいが・・・仕切りにはきっと広川さんは嫌な思いを思い出しそうだし。なによりわざわざ仕切りを下ろして何の内緒話をしているんだろうって変な目で見られるのも・・・


「おはよう。」

「おはようございます。」

車から降りると水戸君がいた。

「やあ。」

 水戸君は,夜は茨城さんとして。城山の家にいる。今朝はおばあさんと一緒に茨城さんとして学校に来るって言ってたけれど。ちゃんと水戸君になってここに来ているってことは,かなり急いだんだろうなあ。


いつものように手をつないで歩いている私たちのそばを水戸君が歩く。

「おはよう。」

「倫子ちゃん,もういいの?」

「結構長かったわね。」

「あら。水戸君。あなたも長かったわね。」


 教室でもひとしきり話しかけられる。


 金曜日の授業は1時間目から数学だ。

 話が頭の上を通り過ぎる。


 リンコチャン コレカラ タイヘンカモシレナイ


光の声が響く。

何?呼びかけて聞くけれど,光は応えない。


・・・・


何事もなくお昼になった。

お昼休みの中庭。屈託のない友だちの笑い。

楽しい語らい・・・・


・・・・・そして・・・・




次回から最終部,最終章に入ります。最終章は長くありません。

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