私は驚いている 3
野菜を優雅に食べて,口元を上品に押さえた後,倫太郎君?は,話し始めた。
「そうだね。昨日の姿はおじいさんに変えてもらっていたんだよ。」
そうだ。おじいさんは偽装の名人だったっけ。
「倫子ちゃんの姿も変わっているんだけど,分かっているの?
全然取り乱していないからびっくりしているんだけど。」
やはり鏡や,自分の手元は真実を表しているらしい。
私は夢見る夢子さんではないのだけれど。
「姿は変わっているらしいとは思っている。
顔がぼやけて見えないから,鏡が変なのかなとも思ったけれど。」
・・・・・
私が黙り込んだので,倫太郎君は首をかしげながら私の顔をのぞき込む。
「僕には倫子ちゃんの顔がはっきり見えるけど。」
ねぇ?と言う風に給仕をしてくれる一恵さんを見る。
「私にもはっきり見えますわ。」
一恵さんもうなずく。
「私は今どうなっているの?」
心細そうに響く自分の声。自分じゃないみたいだ。
「こっちの世界に合わせて,ちょうど6歳。」
「えっ???」
びっくりして立ち上がると,ガチャン。目の前のミルクの入ったコップが倒れる。
素早く一恵さんともう一人の男の人が片付けてくれる。
「僕は15歳だよ。」