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金色の 菜の花畑の 向こうから    作者:
第3部 第2章 私は歩き出す
53/69

私は歩き出す 5

「私も狙われているって?」

広川さんが尋ねる。

ゆっくり立ち上がった水戸君は

「君は倫子ちゃんに近い存在として,誘拐される可能性がある。

 倫子ちゃんに言うことを聞かせるために・・・。」

と言いながら私たちを見た。

広川さんが顔を引きつらせる。

「そうしたら山名さんだって危ないんじゃないの?」

「君の父君は政府の高官だね?それも関係していると思うよ。父上は結構神官関係のことにも関わっているんだろう?」

「・・・・・」

「父上を脅してこの件から手を引かせる・・・

・・・倫子ちゃんを脅して言うことを聞かせる

・・・どちらにも使える存在だよ。君は。」

「・・・・・」


「東君がそれにも関わって?」

私が尋ねると,しばらく考えてから

「う~ん・・そう思っていてもいいだろう。

 東と二人になるな。いいか。二人とも。気をつけろ。」

と答えてきた。私たちは顔を見合わせた。言う?言った方がいい?


「実は・・・英田さんが・・・」

広川さんが意を決して言い出す。

「ほう。自力で気づいたか。」

やはり水戸君は知っていたのか。

「いいえ。おじいさんの薬で・・・」

「薬?」

しまった。言うのはまずかったか・・

・・・・

「まあいい。」

黒髪を掻き上げながら水戸君は言葉を続ける・・・

「あの人はロザリア国からの密偵だな。大学園に同じ国から来ている女がいるがあれとおそらく仲間だな。」

水戸君は考えながら椅子に座った。

「そのロザリア人の女の人・・・本当は男ですよね?!」

「ほう。よく分かったな。それも薬のおかげかな?」

・・・

「そのロザリア人も,私を見極めに来ているんですか?」

「最初はそのつもりはなかったと思うよ。

 多分。倫太郎を探っていたんだろう。そのついでにうまいことやった。ってところかな。」


「ずっと前から?倫太郎君を探るために?」

・・・

「そうだ。あいつらはもう何年もこの国にいる。

・・・あちこちかぎ回っているんだ。見つかりそうになると逃げて別の人間になりすまして・・・あいつらこそ誘拐犯だよ。本当にいる人間と入れ替わるんだから。」

「え?」


「英田紘子という人間は本当にいる。だが,今ここにいる彼女ではない。」

では本物はどこに?

「おそらく,ロザリアにとらわれているか・・・もしくは・・・」

「まさか?」

「考えられるな。これまで見つかって逃げ出した後に,本物が戻っていたことは数えるくらいしかないからな。」


・・・・・英田さんがそんな人なんて思いたくない・・広川さんが深刻そうな表情をしている。

何年も前から光の神子の出現を探っていたというのだろうか。

それとも単なる偶然で・・・


「家に招待したことがあるわ。・・・この夏に。」

広川さんがぽつんとつぶやくように言い出した。

「おそらく君の家に何らかの仕掛けがされている可能性はあるな。

・・・彼女を通した部屋にはおそらく盗聴器かそれに近い仕掛けがされているに違いないと思っていいだろう。」

そう言いながら広川さんの方を見る。

「その部屋で大事な話はしていないか?」


・・・・・広川さんは真っ青になった。

「父と影の正体について話したわ。

そう。端末を使って。

ぶれて見える者のことも・・・こちらの情報は全部・・・ああどうしよう。倫子ちゃんが光の神子だってことも・・・」


・・・・・・。

「そうか・・・・こちらの情報のほとんどが流れ出したと言っていいな。

だからあの黒い渦か・・・」

「・・ごめんなさい。倫子ちゃん。水戸君。」

しばらく水戸君は考えていたが,

「午後の外出はやめた方が無難だな。

もし行くとしたら,おそらくそこで何かが起きるだろう可能性は大きい。」

と言いだした。


「でも・・・急に取りやめたら,変に思われないかしら・・・」

「・・・・」

他の人が巻き込まれることが怖い。山名さんは何も知らない。彼女が巻き込まれたら・・・どうしようか・・・

英田さん。彼女は自分の正体がばれたことを知っている・・・どう動くんだろう。


水戸君はまた立ち上がり,ぐるぐる歩き回った。しばらくして,水戸君は言い出した。

「俺は,これからまた違う人間になって君たちのそばにいる。

せっかく彼氏の座を射止めたばかりなんだが・・・仕方あるまい。」


「別の人間って?」

「俺は護衛だ。だが,この家は堅固で誰の侵入も許すまい。」

「?」

「倫子ちゃん。俺はしばらく君になる。」

「えっ」




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