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金色の 菜の花畑の 向こうから    作者:
第2章 私は驚いている
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私は驚いている 2

「倫子様」

遠くで私を呼ぶ声がする。

誰?倫子様って何?

呼び声はだんだん近くなる。トントン・・ノックの音がする。


「はい。」

ドアがガチャリと音を立てる。


「こちらにいらっしゃったのですか。

 おはようございます。お初にお目もじいたします。

 私は倫子様付きに命じられました,広井一恵と申します。

 よろしくお願いいたします。」


 え?誰?私?


「はい。おはようございます。

  すみません。意味がよく分からないのですが」


 広井一恵と名乗った背の高い女性は,私の手を取って部屋の中へと導いた。

「さあ,お召し替えをいたしましょう。」

 

 もう一方の,下に金色の菜の花が描かれているドアを開けると,そこは衣装室らしかった。さらに扉があり,今は開け放たれている。そこにはたくさんの衣装が掛けられており,下に靴入れとおぼしき入れ物が見える。


「待ってください。」

 着ている服のボタンに手をかけようとした一恵さんを押しとどめて,尋ねた。

「お世話係って何ですか?

  ・・・それより倫太郎君はどこにいるのですか?」

 一恵さんはにっこり笑って

「とりあえず,お着替えをお願いいたします。

 お寝間着のままでは倫太郎様をお呼びできませんから。」

 と言う。確かに今着ている物は寝間着のようだ。

 え?


 ワタシイツネマキニキガエタノ???


  一恵さんが私の 寝間着のボタンを外そうとするので,慌てて断り,自分でボタンを外す。

焦っているのだろうか,なかなかうまく外れない。ようやく脱ぎ捨てると,

「お風呂はいかがなさいますか?」

 と聞いてきた。


 そういえばお風呂にお湯が入っていたっけ。夕べはお風呂に入った記憶が無いから,入りたいかもしれない。でもさっさと着替えて倫太郎君に会いたい。

「今はさっさと着替えたいです。」

 せっかくお湯を入れてくださったのに申し訳ないけれど断る。

 一恵さんは,手に持ってきた淡いクリーム色のワンピースを私に着せようとする。

 私は慌てて

「自分で着ます! 」

と叫んでワンピースを渡してもらおうとする。

「このワンピースは後ろで止めなければなりませんから,お一人ではお召しになることは,難しいですよ。」

 気がつけば, ワンピースを着せられて後ろを止めてもらっている自分がいた。

 この年になって恥ずかしい。一人で着られるのに。


「ご朝食の準備が出来ております。」

一恵さんはそう言って, 金色の菜の花が一面に散っているドアを開けた。

 そこにはソファーやいすが置いてあり,カートの上には湯気の上がった朝食が置かれていた。


「どうぞ。」

 いすを引いてもらい,テーブルに着くとその向こうの,上の方に金色の菜の花が散っている扉がカチャリと開いた。

誰?15歳くらいの少年だ。倫太郎君に似ている。

「よく眠れたみたいだね。

 ちゃんと同調出来ているし。

 そのワンピースきっと似合うと思っていたんだ。

 うん。よく似合っているよ。」


 ぽかんとして見ていると,少年は苦笑いした。

「倫太郎だよ。」

 ???

「信じられないみたいだね。

 とりあえず,朝ご飯を食べようか。食べながら話すよ。」


 倫太郎と名乗る少年は私の向かい側に座った。それと同時にカートに置いてあったスープ入れからスープが供される。

一恵さんともう一人(こちらは男の人だ。)が2人にパンや卵やベーコン,果物などを置いてくれる。


「倫子様,こちらは坂木と言いまして,このお屋敷の使用人頭をつとめております。普段は倫太郎様に付き従っております。」

 私は坂木さんに頭を下げた。

「倫子です。お世話になっております。」

 坂木さんはにっこり笑ってパンを置いた。


「美味しい。」

 そういえば,夕べは何も食べていないんだった。道具を持ってきて。家を閉めて,手をつないだと思ったら・・・朝だったんだ。


 しばらく食事を堪能していたが,不意に思い出した。

「倫太郎君??」

 本当に?

「うん。これが今の僕なんだ。」

 コレガイマノボク?



異世界というか多重世界の一つとお考えください。

重なり合っている部分も多く,かつ,どちらかの世界の大きな出来事が互いに作用し合います。そんな世界です。



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