私は目を覚ます 3
神殿は真っ白い建物だった。
ここは天の神殿。
周りはやはり木々で囲まれ,神殿への道だけが白く輝いていた。大理石か?
この神殿の周りには「人の神殿」のような賑わいがない。
ただ・・・あるだけの神殿。
その神殿への白い道を,おじいさんとおばあさんに連れられてゆっくり歩く。
遠くで警笛の音が聞こえる。あっちの方向に街の喧騒があるんだろうな。
白い道の両側も白い木だ。白樺とも違う。木の肌も,葉の裏すらも白く見える木だ。
シラカミノキ・・・胸の奥でヒカリがささやく。
神殿に入ると,神官とでも言うのだろうか,白い服の人が何人か待っていた。
私の姿を見てその人達は頭を垂れた。
「?」
囲まれるように部屋に案内される。
その間,誰も声を発しない。
おじいさんとおばあさんの姿がいつの間にか見えなくなっていた。
心細い・・・
後で知ったその部屋は,祈りの部屋だった。
その部屋は,何もない,広い部屋・・・いや。真ん中に柱が4本建っており,その真ん中に丸く区切られたところがあった。
・・・相撲?土俵?そんな印象さえ受ける不思議な空間だ。
・・・衣擦れの音しか聞こえない。ますます不安になる
その真ん中に案内され,座るよう身振りで示された。
戸惑っていると,脇で座るポーズをしてみせる。
その通りに座る。蹲踞とでも言う座り方だ。少し浮かせた片膝が震える。
そのまま頭を垂れ,祈るようにと仕草で伝えられる。
私は静かに頭を垂れた。それと一緒に人の気配が消えた。
???
・・・祈りだ。何に?
ナニニデナク,ナニヲ。
ナニヲデナク,ナニニ・・・
アナタガイノルノハ ワタシニ・・・
ワタシガイノルノハ アナタニ・・・
アナタノイノリハ ワタシノイノリ・・・
ワタシノイノリハ アナタノイノリ・・・
ヒカリガミチル
ミチルノハ アナタ ソシテ ワタシ・・・
何のこと?
突然,眩しいくらいの金色の光が,四角で囲まれた空間を満たした。
おおっ
押し殺したどよめきが聞こえる。
読んでくださっている方,ありがとうございます。




