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金色の 菜の花畑の 向こうから    作者:
第3部 第1章 私は目を覚ます
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私は目を覚ます 2

一恵さんがいつものように私を起こしに来る。


「おはようございます。」

ノックの音に応えると,


「いつもちゃんと起きていらっしゃいますね。」

と言いながら,一恵さんが入ってきた。


「おはようございます。」

のろのろとベッドから降りていつもの朝の支度を・・・ 


「そ・・その姿は・・・

 ・・そ・・その髪はどうなさったんですか?」

一恵さんの焦った声がする

 髪?


 手を髪にやり目の前に持ってくる。

 さらりとした手触り。

 いつもの手触りだ。

 でも

 あれ?なんか長い。


 おまけに色が・・・


 「金色????」


慌てて脱衣所に向かう。大きく壁一面にある鏡を見るために。


 そこには,長い金髪の,6歳より少し大きくなったように見える少女が写っていた。

 目の色も少し違う。濃い紫に見えていた目が,今は淡い紫色だ。

 これはいったいどうしたことだろう。


ワタシガアナタダカラヨ


胸の奥で声がする。


あなたは私?!

夕べ途中で意識がなくなっているが・・・そう。

ヒカリは私と重なり、一つに融けた。ぐるぐる回って・・・


 黙って制服に着替える。せっかくの秋服。

 濃い茶色の制服に白いブラウス,臙脂のリボン。上着と同色のプリーツスカート。きつい。上着はなかなか入らない。まだ暑いから,ブラウスだけでいいか・・・ブラウスもきつい。


 ようやく制服に袖を通し,用意された朝食を取る。

 あまり食欲もないが,とにかくがんばって食べる。食べているうちに,連絡を受けたのだろう,慌ただしくおじいさんとおばあさんがやってきた。


二人とも私の姿を見て息をのんだ。

・・・・・


 かなり窮屈になった制服姿の私は,今,応接室で,おじいさんとおばあさんを前にして座っている。

 おじいさんもおばあさんも私を見ながら,う~んとうなって黙り込んでいる。

 

そこに,坂木さんが慌ててやってきた。ノックの音ももどかしく,返事も待たずに入ってくる。珍しいことだ。


「どうしたね?」

「大旦那様,実は,南側に咲いていた菜の花が,全部枯れてしまったという報告が入りました。」

「なに?!」

「ええっ」

 屋敷の南側に広がっていた,あの金色の菜の花畑の花々が,一夜で枯れてしまった!!!


慌てて二人は菜の花畑を見に立ち上がった。

「倫子ちゃん,今日は学校を休みなさい。」

 そう言って。


 せっかく夏休みも終わり,久しぶりにいろんな人と接することが出来るのに。

 休みなさいって学長が言うのは・・・でも。


 この姿では・・・。


・・・私は,楽な私服に着替えた。

 一恵さんが,

 「こんなに早く大きくなるなんて。

 ・・・うん。作り直しですね。」

 と言って,制服を持って出ていった。現実的な人だ。驚きから早くも立ち直って日常に目を向けている。制服は,一回り大きめのものに取り替えるらしい。

・・・だから,最初に,全部作るのはどうなんだろうって言ったのになあ。


 いや。夕べから今朝までの間に10㎝以上も伸びるなんて,私も,誰も思っていなかった。今の身長は135㎝くらいだ。小学校3~4年生くらいか。昨日まで,117~8㎝位だったと思うから・・・へたしたら15㎝以上も大きくなっている。


 あれは夢ではなく,実際に私の体におこったことなんだ。ヒカリが私と一体化した。ヒカリに引きずられて体が急に成長した。と考えていいのかな。

胸の奥でチリチリ・・・鳴るものがある。ヒカリ,あなたなの?


 おじいさんとおばあさんが戻ってきたという連絡を受けて,図書室に戻る。

「学園には体調が悪くて欠席するという連絡を入れたから,心配しないで」

 おばあさんが言う。


「菜の花畑は壊滅的だ。」

 おじいさんが言う。


「薬は,3年分くらいストックされているから・・・少し種も取れそうだし。まあ。何とかなるでしょうが。でも・・・・・」

「・・・何で今なんだ。」

今,日の本連合は,いろいろ大変な時期にさしかかっているらしい。


おじいさんが言いよどんだので,私は昨夜のことをぽつりぽつりと話し始めた。


話が進んで,金色の光が

「ワタシハアナタアナタハワタシ」

と言ったくだりを聞くと,おじいさんとおばあさんは顔を見合わせ,さらに複雑な表情になった。


「倫子ちゃん。これから神殿に行こう。」

「でも,倫太郎がいないのに連れて行くんですか。」

おばあさんがつぶやく。


神殿?

倫太郎君と行く約束になっている神殿へ?今日?



神殿で何があるのでしょう・・・

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