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金色の 菜の花畑の 向こうから    作者:
第2部 第3章 私は休んでいる
34/69

私は休んでいる  2

矛盾を感じたので,「私は困っている2」を少し直しました。 

 そんなこんなで,トイレとお風呂だけは一恵さんの世話にならなければいけなくて,ちょっと大変だったけど,このときばかりは,小さな体で良かったと思った。大人の体なら,お風呂の世話も一人では大変だろうから。


 ようやくギブスもとれ,歩く練習を始めた頃は,夏休みも半分近く過ぎていた。何もしないようでいて,たくさん勉強した夏休みの前半だった。

 この世界の夏休みは7月半ばから9月までの2ヶ月半だ。月の呼び名も,正式には別の名称があるけれど,日本と同じで簡単に1~12月という呼び方をする場合が多い。春夏秋冬の季節も,呼び方も一緒だ。わかりやすくていい。


夏休みの最中に,倫太郎君のお父さんとお母さんが帰ってきた。

 初めて会ったお二人は,倫太郎君とおんなじ濃い紫色の瞳をしたすてきな人たちだった。

お父さんはもう髪はごま塩・・・ロマンスグレー。口ひげをたくわえていらっしゃる。

 お母さんはかわいい感じの人だった。


 そういえば,おじいさんもおばあさんも,すてきな人だ。すてきと言っても,イケメンだとか,美人だとかと言うつもりはない。

 確かに倫太郎君の顔は整っていて,美形の部類だとは思うけれど。

 おじいさんは,倫太郎君が年を経たらこんなになるんだろうな,と思わせるかっこよさ。おばあさんは優しそうな,ふんわりした感じの人だ。

 


 その4人と,倫太郎君と私のあわせて6人で,3週間の予定で,中都国の真ん中にある,湖のある県へ,みんなで避暑に行った。

 車で4時間くらいかかって行くと言うことで,ギブスがとれたばかりの私のことをみんなが気遣ってくれた。

 途中の休息場所では,ちゃんと歩けると言っても,人混みだと転んで危ないだろうと,歩くことをみんなが反対したため,車いすで移動させられた。

 

 そうそう。花の指輪は相変わらず私の胸元にあるけれど,指にもう一つ,いつもはめておくようにとシンプルな指輪をはめてもらったのも,旅行に出かける前の夜だった。

 何かあったら声に出しても,心の中でもいいから,倫太郎君の名前を呼びながら,手を握るだけでいいという。

「握るとどうなるの?」

「倫子ちゃんを守るよ。」

・・・守るって・・・


 休憩するために立ち寄ったのは,緑の木々が木陰を作り,近くに小さな人工の小川も流れているすてきな休憩所だった。

 そこで,近くにある牧場から毎朝届くミルクで作られたというアイスクリームを食べたが,甘くてなつかしい味がして美味しかった。

 

 

 ようやく到着した別荘は,大きな湖の(ほとり)に建っており,遠く湖の真ん中には島も見えた。あの島の真ん中には,神殿が建っているのだそうだ。


 辺りには木々が茂り,涼しい風が別荘を吹き抜けていた。 


 私たちは,湖で泳いだり,バーベキューをしたり,久しぶりに遊びを堪能することが出来た。ただ,最初の2~3日は,まだ車いす移動が多くて,つまらなかったけど・・

 

 夜は,みんなといろいろな話をした。

 倫太郎君が政府でしている仕事。

 お父さんお母さんがしている仕事。

おじいさんやおばあさんがしている仕事。

 みんなみんな地球上のすべての人を救うためにしているんだってこと,初めて知った。

 でも,相変わらず,私の力は具現せず,みんなは,肝心なところは話してくれない・・・


 私がしなければならないこと・・・特にないんだって。

 でもそれって,嘘だと思う。

 何もしなくていいならば,世界の違う私を連れてこなくても良かったと思うから。


私がふさいでいたら,みんなで遊ぼうってことになった。

 

「ボート遊びをしよう。」

 お父さんがそう提案したので,どうせなら, 湖の真ん中にある,神殿の建っている島まで,みんなで競争していこうということになった。

 おじいさんとおばあさん

 お父さんとお母さん

 倫太郎君と私

 一恵さんと坂木さん

 4艘のボートだ。

 さらに,一緒に来ていた護衛の人たちまで加わって,1大イベントになってしまった。

 

 あわせて6艘のボートが一斉に湖にこぎ出す。誰もがはしゃいで楽しんでいた夏の日。


 私はとても幸せだった。



さわやかな涼風。

この中,何かが・・・

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