私は迷っている 3
・・・・倫太郎・・・・
急に政府に呼び出されて早4日。今回はなかなか帰れない。この,日の本連合に対する外つ国からの圧力のせいだ。なんて勝手な国々だ。
僕が示すのは未来のカケラだ。けっして固定された未来ではない。僕の示す未来のカケラが,実現するか否かはその政府の方向にかかっているというのに。
不確かな未来・・・。そう,確かな未来などあるものか。僕は平和で優しい未来への道を示すだけだ。それを実現させるための方策を示すだけだ。
・・・僕の祈りがヒカリとなって世界中に満ちれば・・・いや。それにはまだ・・
華国や汎国が我々の言葉を飲んでくれればいいのだが。
まずあの国々は情報操作が激しいうえに,思い込みも激しいから。・・・いつになったら日の本連合の言葉があの国々の人の心に届くんだろうか。
平和で誰もが笑っている穏やかで優しい国々。国同士の諍いも憂いもすべて凌駕する・・・そんな未来は本当に来るのか。いや必ず。来るはずだ。僕の・・・
倫子ちゃん。無理していなければいいが。
体育はダンスだって聞いているから,この前みたいなことはない・・・はずだと思いたい。
そういえば,一昨日,蝶を飛ばしたら倫子ちゃんの手の中に消えてしまった。何だったんだろう。
昨日は倫子ちゃんが保健室で寝ていたって聞いた。
どうしたんだろう。
雑念ばっかりだ。これではいけない。
「では,この方法をとっていくことにします。城山様,ご協力ありがとうございました。」
「こちらこそ,話を聞いてくださってありがとうございました。」
やっと帰ることが出来そうだ。
「城山君。」
「はい。」
なんと言うことだ。連合国元首,井部五郎氏だ。
「少し時間をくれないか。」
「はい。」
嫌とは言えないよ。分かっている癖に・・・
これでまた,帰れなくなりそうだ。
結局,僕はさっきの方策とは別に,近未来の華国と汎国の悪い方への動向を占うことになった。
あれらの国の動向は,もう占う必要もないくらいはっきりしている。元首も分かっているくせに。悪い方には3つに分岐する。
一つは2国がばらばらに今までのような無茶ぶりをしてくる。これは対応がいちいち面倒だ。
もう一つは,2国が同盟を結び,(1国ずつでもやりそうな気もするが・・・)他の国々をも巻き込んで我が連合に経済的打撃を与えるために動き始める。他の国々に根回しは必要だろう。
最後は2国が我が連合に宣戦布告をする。これが困る。戦争は避けたいものだ。
回避の方法もきっちり元首と各国の首相の5人とで考える。僕の仕事はこちらの方がメインだ。
僕の天の力で何とか出来ないかと考えていることがありありと分かる。でも,この力・・・・僕一人では・・・
僕は願う。世界中の人達の幸せを。
僕は願う。すべての人がすばらしい夢を見られるような世界を。
すべての人たちがわかり合おうと努力できるように・・・僕は働きかけていきたい。
・・・
気がつけば,もう日付が変わっていた。今日もこちらで泊まりだ。明日こそ帰る。倫子ちゃんのもとへ。
読んでくださっている方,ありがとうございます。
このお話の構想は,ふと思いついたラストシーンから始まっています。
ラストシーンに向かって倫子や倫太郎は動いています。
少し重くなると,もう一つのお話で息抜きをしています。
どちらも,今のところ,毎日更新予定です。




