私は浮かれている 5.5
・・・・・冬彌
俺は冬彌。中都国中央高学園の1年生だ。
今日は何人かでラプ・ブルーメの中に新しく出来たティールームとやらの偵察に来てる。
なんでかって・・・そりゃあ・・・おっまた一人来たぞ。
・・・・
おう。さっきぶり。
・・・・・
ここのお茶はうまいよな。ケーキもうまい。
おまえのそれ,なんだ?
オレンジ風味の焼き菓子?上にのってるのはそりゃ何だ?ちょっと黄色っぽいけど。へぇオレンジにオレンジ味のクリームかい?くどくねぇ?
へぇあっさり甘み控えめねぇ。
おまえのは?チョコっぽいけどやっぱりチョコ?
おまえのは?
え?俺の?
苺だよ。い・ち・ご
何かしらねえけどうまいことは確かだな。
上にかかっているのは何だろうな。
薬草園管理だから質がいいんだって?!情報ありがとうよ。
ここはおすすめだよな。うん。
え?ところで最近,面白いことないかって?
実はさ,
高学園に入って,一番面白いと思ったのは倫太郎のことなんだ。
なんでって?
あいつ,中学園の頃は,俺たちのことなんか見向きもしないで,大人とばかりつるんでいるという印象だったけど・・・
なんで6歳の子が婚約者なんだか・・・笑えるよな。おまえもそう思うだろ?!
・・・
それは倫太郎のことか?
ああ。あいつ,あんまり人と群れないからな。そういう印象も持つだろうさ。
だけど俺はやつの友達だと思っているからさ。
おう。割とよく話すぜ。信じられないって?ははは。
・・・・・
ちょっと関係ないけどさ。
へへへ
実は,最近俺に彼女が出来たんだ。
え?知ってたって?
俺,ちょ~浮かれてるってか。はは。
・・・
おう。だからここに来てリサーチしてるんじゃねぇか。
え?彼女?
かわいいんだよな・・・
・・・・・・・・
実は,その子が倫子ちゃんと仲がいいんだ。
だから倫子ちゃんの情報がやたら入ってくる。
・・・・・
そのネタ使って倫太郎に絡むと面白いんだ。へへへ。
あいつ,割と表情が硬いだろ?!倫子ちゃんの話題を振ると,緩むんだぜ。
今度俺と話しているとき顔を見て見ろよ。全然違うから。
倫太郎のやつも人間だったんだな。
え?元々人間?
いやぁ。あいつ,中学園の頃は機械みたいだったぜ。
大人とばっかり小難しいことしてるから,堅くなるんだよな。
おう。
倫子ちゃんといるようになってから,なんか人当たりも悪くないんだぜ。
だから,俺としては,倫子ちゃんの存在があってあいつにとっては良かったと思っているさ。おまえもそう思うだろ?
何で倫太郎の話になるんだよ。
そんなことはさ,どうでもいいんだよ。
それより,聞いてくれよ。
彼女だよ。彼女。
彼女は「人」の力を持ってるんだ。癒やしの力だぜ。それも,医療関係に進めるくらいの力だと。この前の適性検査で分かったんだ。
へへ。そういう俺が,「地」の力を持っているのは知ってるだろ。おまえとか他の奴らと違って,俺の力は薬草を育てるのに向いてるって結果がでたぜ。うん。ということは,二人そろえば,俺ん家の施療園を継げるってことさ。将来も安泰だぜ。
だれだよ。振られないといいなって言うのは・・・むかつくぜ。
不安になるからやめろよ。
おいっ
ガチャン
やべ・・・手が当たっちまった。
す・・すみません・・・
・・・山名道子
私,最近彼氏が出来たんだ。
え? ふふ分かる? うん。冬彌君だよ。
やだなぁ英田さん。まだ手も握ってないよ。
・・・ちょっと,倫子ちゃんが聞いてるでしょ。やめなさいよ。
あ,冬彌君だ。ちょっとごめん。
・・・・
あれ?あの3人は・・・何だろ。倫子ちゃんのこと見てる。嫌な感じ。何で人のこと見てはひそひそ話してるんだろう。人ごとだけど不愉快な気持ちになっちゃうわ。
なんかあの3人変。いつもいやみったらしいし,なんかこそこそしているし,この前なんか倫子ちゃんをわざと転ばせてたわ。わざとじゃないのよなんて嘘ばっかり。
倫太郎君がらみで意地悪してんのかと思ってたけど・・・なんか変。
なんか試してる風にも見えるのよね。
あ。冬彌君。お待たせ。
何?
ああ。あの人達のことね。やっぱり冬彌君も変だと思っているのね。
そうなのよ。
倫太郎君が,広川さんに頼んでいたわ。うん。私も,英田さんも,気をつけてみているつもりなんだけどね。
・・・・・
来週の土曜日?うん。いいわよ。どこで待ち合わせるの?
わかった。
うふふふ。楽しみ。
ラプ・ブルーメにも一緒に行きましょうよ。
え?!嫌なの?
・・・いいわよ。お友達と行くから。ふん。
・・・
え?そう?行くのね?
じゃあいいわ。季節のおすすめで手を打ってあげる。
うふふふ。あそこのお菓子に関しては遠慮なんかしないわよ。たっくさん食べちゃうからね。




