私は驚いている 7
朝,今日も晴天だった。
朝食の後,倫太郎君と街に出かけた。
家の前には中庭とはまた違う大きな庭があり,その中を車が2台通れるほどの道が続いている。ずいぶん広い。どうも家の周りは全部庭らしい。庭って言うより庭園・・・
「今日は歩いて街をみる予定だけれど,疲れたら言うんだよ。」
ようやく門のところに来ると,そこには家が一軒建っていた。
「この家は庭師が住んでいるんだ。家族で住んでいるから,門番の役目もしてくれているんだよ。」
「門番!?」
私たちが近づくと門扉が音も無く開いた。
後ろを振り向くと坂木さんと他に知らない男の人がいる。
あれ?と思っていると,倫太郎君が
「うん。僕たちの護衛だよ。」
という。
「護衛って・・」
「怖がらせちゃうかもしれないけど,何かあったときに僕だけじゃ対応できないからね。」
ゆっくり今の私の歩調に合わせながら話をする。
しばらく道を下っていくと色とりどりの屋根が見えてきた。
倫太郎君の家は,ずいぶん小高いところにあるらしい。
道の途中に石段があった。
「ここを降りよう。その方が早いからね。」
「落ちないでね。」
笑いを含んだ声で倫太郎君が言うから,
「倫太郎君こそ落ちないでね。」
と返す。
ゆっくり石段を降りていくと,細い路地に入った。そこをさらにゆっくり進むと,甘い香りが鼻をくすぐってきた。
「この香りは。」
「お菓子屋さんの香りだね。」
路地を抜けるとそこはお菓子屋さんの脇だった。
「帰りに寄ろうね。」
今は町を見ることの方が先。
後ろからつかず離れず坂木さん達がついてくる。子どもだから保護者同伴と考えればいいよ。と言われたけれどやはり気になる。60歳なんですけど・・・
まだ早い時間ではあるのだけれど,けっこうたくさんの人が忙しそうに行き交っている。
向こうにきらきら光る建物が見える。
「あれは何?」
「あそこは神殿だよ。」
「神殿?神社でなくて?」
「あとで行ってみようか。」
進んでいくと
「倫太郎君」
と倫太郎君を呼び止める声がした。誰だろう。見るとかわいい女の子が3人立っていた。
ようやく悪役(?)登場
悪い子って難しい・・・




