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東方逆接触  作者: サンア
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南無三話前編

命蓮寺メンバーが堕ちた過去編。



 燦々と煌めく太陽が何とも憎たらしい、暑い暑い夏の、昼食時を少し過ぎた頃であった。


「誠にふしだらで、放蕩淫乱である!」


 特異な髪色であった。金色に紫のグラデーションが入った柔らかな癖のかかった長髪。ロングウェーブというのだろうか。


 目につくのは髪色だけではない。白いブラウススカートに、黒いジャンパースカートを重ねたようなゴシック調のドレス。


 ジャンパースカートを繋ぐ帯が胸から腹部をエックス字に締め付け、キュッと引き締まり豊満な胸が強調されている。


 足元の黒いブーツに目がいかないのはそういう理由であろう。


 こう見えて、彼女は命蓮寺という寺の住職なのだが、パッと見て彼女の職業を言い当てられる者は恐らく存在しない。


「しかし! 仏門に入り、乱れた習慣や穢れた行いを改めて修行すれば、あなたも更生出来るのです! さあ、私と共にいざ南無三ッ!」


 神社の境内で仏門の話とは何とも罰当たりだが、その神社の唯一の巫女はぐうたらと寝こけていたので注意する者もなかった。


 そして、


「ん、わかった」


 彼は誘いを断らない。





 聖白蓮は嘆いていた。幻想郷の風紀の乱れに、である。


 時期や年齢が関わるそれは仕方ないと理解はしているのだが、聞けば一人の男が原因とのこと。


 美しい人であるそうだが、外見に似合わぬ行いをしていると、男のことを聞いた聖はひしひしと感じていた。


 命蓮寺とは人と妖怪との共存を願った聖の理想である。常人には理解し難いこの理想の為に、魔界へ封印されていたことまである。


 それでも聖は理想を捨てなかった。諦めなかった。そして信じていた。


 自身の歩む道の正しさを……。


 完全に認められたとは思っていない。だが、ひとまず一歩進めた。


 それこそが幻想郷における命蓮寺である。人の信者も妖怪の信者もいる。そしてそれぞれが共存の道を模索しているのだ。


 男の存在はその信者達が教えてくれた。


 大層評判が良い。外見の良さもさることながら、非常に穏やかで誠実であるとか。


 確かに信者達の話からは誠実さを感じるし、人々に慕われるに値する行いをしているようだ。


 だが同時に不誠実さを感じる話……というか、単純にいかがわしい話も聞こえてくる。


 衆目の中、稗田の子を抱いていたとか(彼に触れられた阿求の力が抜けただけ)。


 学舎で、蛍妖怪を誘惑して押し倒させたとか(リグルのラッキースケベ)。


 ところ構わず、博麗の巫女と深く濃厚な接吻を交わしていたとか(これは本当)。


 他にも様々な女性との似たような話を、いくらでも聞くことが出来た。


 一人の女性とならまだ良い。人前でのハレンチな行為はいただけないが、まあ他人に迷惑をかけてないなら良い。


 しかし複数の女性とはいけない。それは女性達も、自分自身にも、不幸しか待ち受けていないからだ。


 その女性達が人間だけでないのはもっといけない。幻想郷は妖怪の行いに敏感なのだ。


 妖怪と人間の共存を理想とする聖にとって、それは危惧すべきことなのだ。


 そして聖個人としても、男を放っておけないのだ。


 悪意でやっているならば正さねばならない。だが性質ならどうだ。


 元々魔性を身に宿していたならば、本人が望んでやっていないなら、男は救われなければならない。


 彼、と呼ばれるその男が博麗神社に居候していると聞くと、聖の足は自然とその場へ向かって行った。





 滝行。修行と聞くとこれを思い浮かべる者は多いのではなかろうか。


 僧侶の修行というよりかは、格闘家の修行というイメージの方が強い気がする。


 煩悩を洗い流すとか、打たれることで心身を研ぎ澄ますとか、単純に拳で滝を割ったりとか……正直、今回彼の滝行に付き合うことになった村紗水蜜にもよくわかっていなかった。


「(まあ最後のだけは違うな……聖が実際やってたけど)大丈夫? もうちょいだから、頑張っ……てね」


 振り向くと目が合った。彼は相手の目をジッと見詰めてくる。その視線には緊張や気負いというものがない。


 あまりにも真っ直ぐな視線に、少し恥じらいを感じてしまい、慌てて首を戻す。


「うん」


 小さい返事だ。だが軽くはない。


 滝までの道は命蓮寺からそれなりに距離がある。緩やかではあるが坂道がずっと続く、木々と川に挟まれたものだ。


 川の流れは穏やかで、そこまで深くもない。時折大きな岩で流れが分岐したり、小魚を狙った鳥が水面すれすれを滑空する様などが見れた。


 木々の中からは虫、というか、蝉の鳴き声が延々と続いている。その蝉を狙った鳥や動物もいるのだろう。


 そんな場所にある道だ。ゴツゴツと小石や木の破片が転がっているし、小さい段差も多々ある。


 だから村紗は心配して彼に声を掛けたのだ。彼はそれをしっかり感じとって返事をし、


「ありがとう」


 とまで付け加えたのだ。


「(聞いてた話と随分違うなあ)」


 女たらしと聞いていたのだが、そんな印象は全くなかった。むしろ最初は女たらしの被害者かと思った。男だとは思わなかった。


「(柔らかそうな肌……)」


 どちらかというと、煩悩を流す必要があるのは村紗だ。


 目的地に近付くにつれ、川の流れが速くなってきた。岩肌を打ち付ける水音も、この気温には心地好い。


 それほど大きな滝ではない。横幅は大人二人分、高さは三階建ての民家ほど。


 もっと上流にいくとこの何倍も大きい滝があるのだが、あれは常人では押し潰されてしまうだろう。


 ちなみに聖が割った滝はその更に数倍の大きさである。


 ゴツゴツとした岩肌の中を流れる滝だが、水に触れる面はつるつるとすべるほどに滑らかだ。


 永い年月をかけて岩を削っていったのだろう。


 近くの山小屋で着替えるように伝え、白装束の入った手提げ鞄を彼へ手渡し、ボーッと滝の流れを眺めていた。


 近くにいるだけなら涼しくて良いんだがなあ。打たれるとなあ……冷たいわ寒いわ痛いわでなあ……。


 どうせ誰も見てないのだし、今のうちに着替えてしまうか。


 村紗は溜め息を吐きながら、船乗りを思わせる白いセーラー服を脱ぎ始めた。


 命蓮寺には何故か胸が豊かな者が多く、村紗もそれに漏れず肉付きは非常に良い。


 胸のさらしを解くと胸が文字通りに弾み、少し揺れてから落ち着いた。


「あ、さらしはいいんだった」


 水に濡れると透けてしまうので、下衣やさらしはつけているのが普通だ。一応男性と一緒なのだから尚更。


「別にいいけど……ちゃんとしとくか」


 村紗は服も短パンも脱いだまま、さらしを締め直した。下半身に身に付けているのはふんどしだ。


 ほとんど尻は出てしまっているのだ。


 そして村紗は背後に立つ彼に気付かないでいた。





 たき火を前に村紗は放心していた。尻を見られたからではない。滝行の後で冷えきった身体をただ温めているだけだ。


 実際見られたことはあまり気にしていない。それ以上に、濡れて身体のラインがくっきり浮き出た彼が気になっていた。


 この小さな滝では村紗の煩悩は流せなかった。


「あのさぁ」


「ん?」


「あたしのお尻見たよね?」


「うん」


 認めるのが早いな。村紗が背後に気付くまで、彼はずっと後ろを向いていたのだが、つまりそれは見てしまったから気を遣っていたのだろう。


「不公平です」


 彼が首を傾げている間も、村紗の口は止まらない。


「あなたのお尻も見せるべき」


「いいけど」


「よっしゃ」


 村紗は冷えた身体も忘れて立ち上がった。濡れた髪から飛んだしぶきが、たき火に当たってパチッと弾けた。


「えっと……じゃあ帯解いて」


 彼はこれといった反論もなく言われた通りに帯の結び目に手を掛けた。


 しかし、濡れて縮まっていて解きづらくなっており少々手こずっているようだ。


 その間村紗は焦らなかった。濡れて透けた薄い生地を通した彼の肌に見飽きることがなかったからだ。


 帯が解けると彼を立ち上がらせ、着替えに使った小屋の壁へ手をつかせた。


 肩甲骨の間からラインをなぞり、緩やかな丘となって尻へと続く。


 一方でくびれたウェストからの道では、ぷっくりと膨らんだ山のようで。


 いずれにしても、見るだけ触るだけでは済まないと村紗の情欲が叫んでいた。


 キュッと引き締まり、腰の曲がりで更に強調された尻は、濡れた衣をめくるまでもなく形も割れ目も食い込むふんどしまでもはっきり見えていた。


 でも生だ。生が見たい。ここまで来たなら生が良いんだ。


 更生、或いは性質を抑える。という目的は最早すっかり忘れてしまっていた。


 村紗は太ももと尻の付け根に親指をあてがって押し上げるように尻へと触る。


「んっ」


 種族の性質上、村紗の手、というか身体は冷たい。滝行の後ではその冷たさもあまり際立たないだろう。


 彼の反応は掴み上げてきた力によるものだ。徐々に上に上にと肉を押し上げ、手放すとプルんっと揺れ、衣から水滴飛んだ。


 水滴を浴びた村紗は笑顔で、次は両手で彼の尻を掴み上げた。


「んんっ」


 先程より力強く、何より手指の動きが激しい。尻を触るというより、衣を少しずつめくっているらしい。


 ゆっくり、ゆっくりと彼の脚が晒されていく。足首、脛、太もも……いよいよとなった時、村紗の興奮は最高潮に達した。


 衣をガシッと掴んだ。勢いをつけて一気に引き剥がすつもりだ。


 恐らく彼の柔らかな白い肌を直接視認すれば絶頂に至るだろう。その後自分が何をやらかすか、おおよそはわかる。


 聖に怒られるかもしれない。知ったことか。愛という名の欲望に目覚めた村紗からは、一切の理性が感じられなかった。


 最初は触る。次に舐める。そして吸い付く。更に入れる!


 その後のプランを高速で計算しつつ、村紗が思い切り腕を引いた。


 その時、村紗の身体が真横へ吹き飛んだ。


 空中で脇腹に衝撃が走ったことを自覚すると木々へ突っ込み、小さな枝や葉を散らしながら、それでも勢いは止まらず、滝まで到達。


 多量の水しぶきと、滝の裏側の岩を砕いてようやく村紗の身体は止まった。


 そのまま失神したのか、滝に押し出され川へと流れていく。


「何してたのよ……あなた」


 彼が何事かとゆっくり振り向くと、拳を突き出した雲居一輪が赤い顔で彼から目を背けていた。



村紗のセーラー服は短パンじゃなくてスカートらしいけどどっちも持ってるで全て解決。

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