酔いどれ話
最近エロスが足りないな。
その日も伊吹萃香の足取りはしっかりとしていた。前後に舟を漕いでいたかと思うと、唐突に左右に頭を振ったり、踊るように回転したりと、一見すると不安定だが、彼女は決して転ばない。
地に後頭部を付けそうなくらい反り返っても、片足の指の力だけで起き上がってしまう。勢い余って地に亀裂が走る事もしばしば。ついうっかり神社の境内でやらかしてしまい、霊夢にボコボコにされる事しばしば。
鬼の力は凄まじい。この怪力を殺傷を目的に振るえば、受けた者は人妖問わずただでは済まない。事実萃香は幾多の人妖を素手で屠っている。
そんな鬼をボコボコにする霊夢はおかしい。と現場を目撃していた魔理沙とレミリアは思ったが、最終的には霊夢だから仕方ないという結論に落ち着いた。
そんな鬼こと萃香だが、普段は幻想郷中をほろ酔い気分で徘徊し、何か面白そうな事があれば首を突っ込み、飽きたら神社に帰って彼に抱き着くといった生活を繰り返している。無論抱き着く以外にも色々やってる。
その日は何となく小腹が減ったので帰路についたのだが、何やら神社の一室、居間に当たる部屋が騒がしかった。彼や霊夢と一緒に食事をしたり、くつろいだりする部屋だ。土間と繋がった造りになっている。
居間の障子戸は開けっ放しになっており、障子戸の前の縁側で白黒の物体がうずくまっていた。両手で三角帽子のつばをギュッと掴んで目隠しをし、ふるふると小刻みに震えている。俯いていてわかりづらいが、やはり赤面しているようだ。酒に酔ってるとかそんな様子ではなく、まあ“いつもと同じ”ような理由でだろう。
萃香はふらつきながら履物を無造作に脱ぎ捨て、魔理沙の横から縁側へ上がり部屋の様子を伺った。
「うわあ、これ凄いわねっ……いやでもこれ、いや凄いわね、凄いわねえ」
「確かに結構な出来ね。それなりに売れる理由がわかるわ」
「紫様! 今! 今さっきの彼がちょっと口を開いて声を漏らした瞬間の顔が凄く美しくてムラムラしたので巻き戻して下さい!」
「お、おぅ……ねえ魔理沙、どうやって巻き戻すの?」
「知るかばかぁ……!」
座卓には水晶玉が乗っていた。座卓の周りには霊夢、紫、そしてす巻きにされた藍がいた。なぜす巻きにされてるのかはわからないが、彼が原因なのはわかる。
水晶玉からは淡い光の粒子が緩やかに上昇し、水晶玉の真上である形を作っていた。彼である。ミニチュアの彼が水晶玉の真上で浮かんでいる。
服装は下着のみのほぼ全裸で、タコの足から吸盤を削ったような悍ましい色合いの触手が彼に絡み付いていた。平面の映像ではなく、立体の映像で質感もリアルだ。
また立体だからこそ、色んな角度から楽しめるのだろう。藍は前方から、霊夢は後方から、紫はスキマを使って様々な角度から観察している。
以前同じような物が魔理沙に届けられていた。パチュリーからだ。魔理沙がうろたえるのをわかっててやっている悪質な悪戯だが、本を盗まれた仕返しと言われれば言い返せない。ちなみに以前のは彼の入浴シーンだった。
というか、同じ悪戯に引っ掛かったのかこの乙女魔法使いは。
「……だってアリスからだったから……」
どうも贈り主を偽造されたらしい。それなら仕方ないね、うん。
本物の彼はいないらしい。また出掛けてるようだ。いないなら仕方ない、と萃香は霊夢の後ろに腰掛け、ミニチュアの彼の臀部を肴に瓢箪を呷った。
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その日は快晴で空だけを見てれば爽やかな気分であったが、気温は高くジメジメとした湿気を伴った暑さに、縁側に寝転がった萃香は服を脱ぎ捨てようか迷っていた。
いや既に上着に手をかけていた。食事が出来たと彼が呼び掛けなかったら、脱ぎ捨てていただろう。脱ぎ捨てていたとしても、今神社にそれを注意したりする者もいない。むしろ同調して脱ぎはじめるような者がいる。というか、もう霊夢の上半身はさらし以外何も身につけていない。
ズビズバと音を立てて蕎麦を啜る。つけ汁は彼特製で、薬味はしょうがとわさびとネギが用意されている。オカズは揚げたての天ぷらだ。あっつあつの天ぷらだ。旬の野菜や海産物を使った天ぷらがまずい訳もなく、また冷たい蕎麦とは相性も良かった。あったかい蕎麦とも相性は良いが、今の気温でそれは想像したくなかった。
「やっぱこの季節は冷たいのに限るね」
「あったかいのだって美味しいじゃない」
何気なく呟いた萃香に霊夢が反応した。
「冬ならね」
「暑い時に熱い物食べて、汗かくのも気持ちいいじゃない」
「それもわかるけどさ、今日は暑すぎだって」
「まあ……そうね」
暦の上ではもう秋だが気温は夏そのものだ。残暑厳しいというより、夏が続いてるといった感じで、どこかの神様が歎いてそうだ。
「そんなに暑いの?」
「うん、暑い」
「ええ、暑い」
「そう、私はよくわからないわ」
そう答えたのはアリスだった。彼女は汗一つかいていない。熱い天ぷらもためらいなく口に運んでいる。気温や温度に対して鈍感なのかもしれない。
「美味しいわ」
味覚はしっかりしているようだ。
さてアリスが神社を訪れた理由だが、特にない。なんとなくだ。そもそも博麗神社を訪ねる理由など、人妖問わずだいたいがなんとなくだ。あと宴会。
とはいえ今は彼という存在がいるので、彼目当ての客も多い。いやだいたいが彼目当てか。無論賽銭は増えてない。
まあとにもかくにも、今回アリスが博麗神社を訪れた理由はなんとなくで、半裸の霊夢や汗だくの萃香を見ては気温の高さを感じていた。
「あんた、変わったよね」
萃香の言葉にアリスは箸を止めた。またか、と思ったからだ。
「会う人会う人がそう言うわ」
「そりゃ言うだろうよ」
萃香は断言した。それもそのはず、アリスの変化は彼女を知る者なら一目見ればわかるからだ。
「そうよ、前の方が女の子らしい“格好”で可愛かったのに」
萃香がぎょっとして霊夢を見た。こいつに女の子らしさとかがわかるのか、とでも言いたげな目付きだ。
「あ、でも髪型はそれも良いかも」
さらに萃香の表情が強張ったが、それは置いといてアリスの変化だが、単純に服装と髪型が変わってるだけである。髪型はポニーテール、ヘアバンドは外している。服装は白いトレーナーに濃い青色のジーンズ、とんでもない変わりようである。
要は彼に勧められた髪型と、彼の普段着を真似たのだ。以前彼の服を着た時との違いは、服の色の濃さと採寸が合っている所。そして、顔の両サイドを普段身につけていたヘアバンドと同色のリボンで一房まとめている所か。
まあとんでもない変わりようである。
「色々あって着た事があったんだけど、ずいぶん楽だったから自分用に縫ったのよ」
目をつむり首を傾げて言う。何度も同じ説明をしているらしく、アリスなりに辟易してると仕種で伝えているようだ。表情が鉄のままでイマイチ伝わらないが。
「嫉妬されてんだよ」
からから笑いながら言う萃香に、溜息を吐いてアリスが言う。
「今は霊夢の着物を着てるじゃない。霊夢が嫉妬されないのは不公平よ」
相変わらず不満を感じてるとは思えない無表情だ。確かにアリスの言うように、彼は今もう一つの普段着である着物を着ている。
「あれが霊夢の服だって印象ないだろ?」
「……そうね」
霊夢の服といったら紅白の巫女服だ。この着物はもう彼の服になってしまっているのだろう。
「じゃあ彼が他の子の服を着てる時はどうなのかしら?」
今日はたまたま着物を着てるが、普段は咲夜の服や鈴仙の服や妖夢の服を着ていたりする。正確には自分の服のデザインを彼用にアレンジした服だが。
他にも色んな人妖から多数送られており、日替わりで着替えてるので神社を訪れると彼のコスプレが楽しめる訳だ。むしろ今日のような着物は珍しい。
「彼が誰かの服を着てるのはいいのよ。かわいい服だし、似合ってるし、そそるし」
答えたのは霊夢だ。何がそそるのかはわからないが、誰かの服を彼が着ていてもその誰かに嫉妬したりはしないそうだ。
「彼の服を着てるとなると、話は別なんでしょうね。私は気にしないけど」
ようするに、彼が誰かの服を着るのはみんなが楽しめるからいいけど、誰かが彼の服を着るのはお揃いみたいで嫉妬の対象になる訳だ。
「なるほどね」
萃香が納得して頷いた。アリスも理解した様子だ。
「白い目で見られるのも仕方ないのね」
やっぱり前の服に着替えるべきか。しかしこの服も動きやすくて気に入っているし、彼と同じデザインに思う所もある。
「白い目で見られるのは、これが原因だと思うけど」
どうしたものかとアリスが悩んでいると、霊夢が何かを差し出してきた。新聞だ。鴉天狗の新聞だ。
一面には人里で行った人形劇の記事が掲載されていた。人形を操るアリスや裏方で声をあてる彼、また観客の様子を撮った写真も載っている。
「文にしては良い記事じゃない。あら、妖夢も来てたのね」
記事の内容と、観客の写真の中にいた知り合いの楽しそうな表情に機嫌を良くしているのも束の間。
「裏面」
と霊夢が一言。言われた通りに新聞をひっくり返すと、溜息がこぼれた。
「おや、こいつはまた、ひどいもんだねぇ」
記事を覗き込んだ萃香がからから笑いながら言う。白い目で見られている原因が載っていたからだ。
「アリスも結構大胆なのね。ちょっと驚いたわ」
霊夢が淡々という。アリスはちらりと彼を見たが、彼は特に何とも思ってないようだ。
裏面に載っていた記事は、ざっくりいうと、彼と温泉でイチャイチャやっていた時の事であり、写真もバッチリ掲載されていた。
「これが原因なら、着替えるのはやめる事にするわ」
萃香の笑い声が大きくなった。
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「彼が人里で人形劇が云々って聞いてね、これはチャンスとうちの従者に休みをあげたのよ」
鳥の串焼きを片手に語るのは食いしん亡霊こと西行寺幽々子だ。着用している着物はただでさえゆったりとしているのに、酒に酔ってほてったのか黒い帯を緩め着崩すしている。もうほとんど羽織ってるだけだ。
袖の部分は大きく、肩の下でフリル付きのリボンで固定されていた。片方のリボンは緩め、そして腕の部分だけ着物を脱いでおり、袖の部分がダランと垂れている。脱いだのは食べるのに邪魔という理由でだ。邪魔なら別の服を着ればいいと思う。
豊満な胸が今にもはみ出しそうになっているが、はみ出たとして気にする者は今物凄く忙しいので気にする必要はない。
亡霊らしい三角巾の飾りがついたナイトキャップ風の帽子は、既に投げ捨てられ、桃色のウェーブかかったくせ毛は乱れている。腰から下はチャイナドレスのようなスリットが入っており、その中ではスカート状になった着物が本来なら優雅さを漂わせているが、前者のような有様なのでお察しといった所だ。
「彼の情報もしっかり教えてあげたの、それなのにあの子ったら日が沈む前には帰ってきたのよ……笑顔で、それでね、なんて言ったと思う!?」
もう相当酔いが回っているらしく、絡み相手に選ばれてしまったレミリアは、はい、はい、そうなんですか、と頷くばかりであった。
「あの子ったら……スッゴく楽しかったです! 人形劇の事教えてくれてありがとうございます幽々子様! って言ったのよ! 可愛すぎるでしょうちの従者!」
相手が話を聞いてるかどうかはもう気にしてないようで、幽々子はレミリアの適当な相槌に気を良くしては話を続けた。
「そのあとは彼と目があって手を振ってもらえたってだけの話を一時間ぐらい笑顔で喜びながら語っちゃうのよ! かわいいさすが妖夢ちゃんかわいい、これで私は妖夢と彼をムフフな関係にしてやりたくなったわね」
「そっスか……あの誰か変わってくれない……? ねえ、ねえ美鈴こっち向いて」
レミリアは無視された。
ちなみに可愛すぎる従者こと魂魄妖夢であるが、彼女は今戦場にいた。台所という名の戦場に。
今博麗神社は宴会場になってる訳だが、これは事前に予定されていたものではない。そもそも来客が多い博麗神社に、来客が重なる事はままあり、それが続けざまに起こると最終的には宴会になってしまうのだ。
食材や酒なんかは持ち寄りがあるので困らないが、調理は大変だ。予定している事なら彼は下ごしらえは済ませているが、今日のように突発的に起こった場合はそうはいかない。
大体誰かしら手伝ってくれる者がいるのでそこまで大変ではないが、今日は幽々子がいる。単純に大食の幽々子がいると料理の減りが異常に早く、作る方が追い付かないのだ。
幸い今日は手慣れてる咲夜と妖夢の他に、魔理沙まで手伝っているので何とか間に合っているが、台所の様子は昼食時の人気外食店と変わらない。
咲夜が下ごしらえをし、彼が調理をして、妖夢が盛り付け、魔理沙が運ぶ。手が空いた者は次の食材を用意し、食器はともかく鍋の数は限られてるので次々洗ったりと、忙しい。単純に忙しい。
その忙しさに遠慮をする者は少ない。急かしてくるぐらいだ。急かしてるのは主に幽々子だが。
彼らが一段落ついたのは、幽々子が眠りこけてからだった。
夜も更け、外から入る風にほのかな秋らしい冷たさを感じるようになったものの、せわしなく働き続けた魔理沙にはやや物足りない涼しさだった。
「はい」
「ん、ありがとう」
彼から渡されたタオルで額の汗を拭う。身体中に汗をかき、服がジメッと湿った感じがして気持ち悪いが、魔理沙はこの場で脱ぎ捨てれる側の人間ではなかった。
「さ、頑張った分飲んだり食べたりしましょうか」
「そうだね、コップ取ってくる」
と席についた咲夜と食器棚へ歩いていった彼は多少息を乱しているものの、汗一つかいてないし表情に疲れが見えない。
「私は幽々子様を寝室に運んで……またこんな格好に……」
溜息を漏らしながら幽々子を抱え、寝室へ歩いていった妖夢にも疲れがあるようには見えない。
「慣れって凄いんだな」
魔理沙はシミジミと呟いた。
グツグツと煮えた鍋を囲むのは台所で働いた四人の他には萃香だけだった。彼に膝枕してもらってる美鈴もいたが、こちらはもうほとんど潰れてしまっている。
「怒んなくていいのか?」
呆れが混ざった魔理沙の質問に、
「仕事中じゃないから」
咲夜はサラっと答えた。
「昼間はたまったもんじゃないけど、こんくらい涼しけりゃ鍋も悪くないね」
白菜を口に運んですかさず酒を啜り、舌鼓を打っては唸る。
「単純な料理が美味いってのは、あんたらが料理上手だってこったね」
「褒めても何も出ないわよ」
「そいつぁ残念だ」
萃香はけらけら笑いながら鍋に箸を突っ込み、鶏肉を取り出すと同時にふと思い出したように魔理沙を見た。
「アリスが嘆いてたよ」
一瞬なんのことかと考えて、魔理沙はばつの悪い顔になった。
「ああ……いやそれは……うーん……」
「悪かった悪かった、ちょっとからかいたかっただけだよ。ほら飲みな」
ずいぶん早く切り替えた萃香に不気味さを感じたが、話題の切り替え自体は有り難かったのでそのまま魔理沙は酌を受けた。
「そうじゃないんだよ……別にな……彼と同じ服だとか、一緒にお風呂とか……それはいいんだよ」
それなりに酒に強い魔理沙であったが、よく働きよく汗をかきそれなりに疲労した身体では、普段通りのコンディションとはいえず、珍しくベロンベロンに酔っ払ってしまった。
萃香のニヤつき具合を見るに、わかってて酌をしたんだろう。普段見れない魔理沙を見れた咲夜も、ニコニコと萃香とは質の違う笑顔を見せている。
妖夢は少し酔いが回ったか。主人よろしく青緑のベストを脱ぎ、ややはだけたシャツにスカートという出で立ちになっている。
彼はいつも通りだ。たまあに美鈴にあーんしてやりながら、酒を飲みつつ魔理沙の話を聞いている。
「たださあ……いつも顔色変わんないのに……二人して赤い顔しちゃってさあ……確かに八つ当たりだけどさあ……」
どうも風呂場でイチャイチャしてたのではなく、その結果赤い顔になってたのが嫉妬の原因らしい。
「はは、ややこしいね」
萃香は楽しげに笑うばかりだが、妖夢や咲夜、美鈴も夢心地の中でなんとなく魔理沙の心情は理解出来たようだ。彼の一面を垣間見たアリスが純粋に羨ましかったのだろう。
萃香はそれを理解してないのではない。
「でもね、長く湯につかってたら、誰だって顔ぐらい赤くなると思うけどね」
魔理沙がハッとして彼を見た。
「ちょっとのぼせた」
彼の返答を聞いて魔理沙は頭を抱えた。萃香は他より彼と風呂に入る機会が多いので、知っていたのだ。赤い顔の彼を。
「確かに色っぽい顔になるけどね」
「アリスに謝らなくちゃ……」
魔理沙は自己嫌悪していた。このままでは酔いが悪い方向に進みそうだ。
「そうね、明日謝りなさい。今日はもう寝るといいわ」
「うん……そうする。お休みアリス」
魔理沙はスッと立ち上がると、すたすたと寝室へ歩いていった。襖が閉まり魔理沙の姿が見えなくなると、さりげなく近づいて来てたアリスは一言。
「今の魔理沙めちゃくちゃ可愛かったわ」
とだけ言って元々座ってた場所へ戻っていった。ちなみに魔理沙は酔っ払ってる時の記憶ががっつり残るタイプである。
「良い宴会だね」
萃香がぽつりと呟いた。目の前には締めの雑炊も綺麗さっぱりなくなった鍋と、未だ宵の口といわんばかりにはしゃぐ数人、隣には彼がいた。
「そう?」
彼は美鈴の頭を撫でながら、萃香をジッと見つめ、疑問を口にした。宴会の良し悪しなどわからないのだろう。
「ああ、そうさ。はしゃいでわめいて笑って泣いて、みんな剥き出しだろ?」
彼は辺りを見回した。はしゃぐ妖精、わめく神様、笑う人間に、泣く妖怪、なるほど。
「そうだね」
「ね。飲むだけじゃなく、酔うのを楽しむのも宴会さ。さて、私も剥き出しになろうかね……どきな」
「あう」
萃香は美鈴を押しのけ、彼の膝に座り、彼に寄り掛かった。
「あー……気持ち良かったのに……ヒドイですよー……」
文句を言いながら美鈴はそのまま眠ってしまった。彼の太ももに頭が当たっているから、気持ち良さは継続しているのであろう。
「ここは私の特等席なんだよ」
見た目通りの子供っぽさだが、萃香はこの体勢が好きだった。背中越しに彼の体温と鼓動を感じれるからだ。彼の鼓動と自分の鼓動が一致した時など、快感が全身を駆け巡るほどだ。
「このまま寝ちまうよ?」
「いいよ」
萃香はやや頭を傾け、彼の息遣いが耳に届くようにすると目を閉じた。
「嫌ならやめるよ?」
「嫌じゃないよ」
そう言ってくれるとわかっていながら言うのだ。そう言われるのが嬉しいから。
「明日さ……一緒に……お風呂……」
眠気が込み上げてきた。彼との接触には安心がある。全てを預けて眠りにつけるほどの安心が。
「……お休み」
彼は寝息を立てた萃香の頭を撫でながら、萃香のいう良い宴会をもう一度見回し、萃香へこぼれないように注意をしながらコップの酒を一口飲んだ。
萃香だから宴会と短絡的な発想で書いた結果がこれだよ。お風呂まで書けばよかった今度書こう。
今回はゆゆ様の描写がなんかすらすら出て来ました。妖夢を純粋にかわいい子に出来てればいいのだが。
もっと美鈴の肉感的な描写や、咲夜さんと彼の接触とか、妖夢の心情を書いていきたいのですがキャラをたくさん出すとどうもおざなりになっちゃいます。
てゐちゃん好きの友人「次回はてゐちゃんの出番ですよね!?」
私「うどんげ」
てゐちゃん好きの友人「え?」
私「うどんげがメイン。だからてゐちゃんはちょっとだけかな」
てゐちゃん好きの友人「汚いなさすがサンア汚い」
私「汚いはほめ言葉だ」
それでは。
フラン「まて質問」
私「感想の返信で答えちゃった」
フラン「この駄豚が」
私「はい」
フラン「あとこの会話形式どうなんだろ?」
私「あとがきだけだし私が楽しいから問題ない」
フラン「そうか死ね」
私「死因はケロちゃんとやり過ぎた上での服上死がいい」
フラン「今お前の事を心の底から気持ち悪いと思ったよ」
私「フランちゃんに血を吸い付くされた挙げ句の失血死でもいいのよ?」
フラン「ブックマーク減ったらお前のせいな」
私「ああん」
それでは。