魔術師の日常。
200年経過すると、孫の孫が出来始める。息子ディヴィットや娘アイリーンの面影はもう薄い、魔術師の道へは身内から志願者はいなく縁あって弟子になったケビンは既に20代半ばにて免許皆伝の引導を渡し、自らの意思で延命の術を行って久しい。
「ヴィヴィアーン! ちょっといいー?」
深紅の髪を持つ女性が現れる、フィーが一番使う使い魔だ。
「収穫でございます?」
「そう、こっちのランベンダーと、あっちのマリーゴールドとやっちゃおうか。」
既に巻き込まれているケビンは、一番やっかいな「収穫物を入れる籠を置いて回る」の役で汗だくだ。
こうやって畑で育てた薬草類を収穫し、オイルや民間薬に加工して収入に変えるのだ。
「けーっこう集めた、流石にこんだけだだっぴろいと使い魔12を総動員して正解。」
ケビンが麦わら帽子で扇ぎながら笑う、産まれ故郷のカナダに居を移しても年に数度はやってきて、アロマの基礎を習っていくのだ。
「フィー様ぁ」
「おやおや、にぎやかなのが来たね」
背後を振り返れば、20歳前後。見事な金髪を一つに纏め、ドレスのすそを大胆に持ち上げて走ってくるのは実の子供から数えて、10代目の孫アビーだ。
「アビー、今日はちゃんとこっちに来ると言った?」
「言いました!フィー様の館に行くって、後でサマンサが付いて来ます」
アビは誰に似たのか、お転婆でこの館に来る時はテンションが上がりきって、侍女のサマンサを振り切ってしまう。その度に親からこっぴどく叱られこっちに来れなくなって手紙でグチグチネチネチとぼやくのだ----誰のせいなのだか。
「アビー様!どうして、いつもいつもこうなのですかーーー!!!」
「ほぅら、煩いの来たよ。」
「ヴィヴィアン、サーシュ、ネイサンえーっと」
使い魔が待機しているので、アビーがお茶を飲みながら名前を当てるのだ。ちなみに、未だ全部が完全に言い当てたことナシだ。
「キビ…あぁん!わっかんなーい、フィー様は間違えないですの?」
「当たり前、ディックはしょっちゅう間違えるけどね。今度1つ増えるから、その時は見せてあげようね」
「ケビンは、使い魔持たないんです?」
「あー、使い魔って便利だからって2ついるけど。出しっぱなしは、結構体力消耗するし必要な時だけ。」
サマンサがこっそり後ろからアビーを突き手渡した封書が、テーブルを渡ってやってくる。
「へぇ?久しぶりに夜会?魔女が行っていいのかしらねぇ?」
「いいんですのよ!最近外国のお客様も来てらして、お披露目かもしれませんもの。楽しみですわねー♪」
しっかりディックの名もあり、招待状をクルリと裏返せばもう手には無かった。




