別れ
――――あれから、しばらくのときが過ぎ、今日は俺の卒業式だ。
あれ以来、俺は蓮也と会っていない。
学校に来ているのは事実なのだが、学年が違ったり、俺が多忙だったりするせいか、会わない。
式も終わり、後輩たちに見送られる時間が来た。
後輩たちが作ってくれた花道を隅々まで見渡しても、どこにも蓮也の姿はなかった。
諦めて溜息をつき、校門を出ようとした。
すると、何者かに「自転車置き場までついてこい」と腕を引っ張られた。
腕を引っ張ったのは、蓮也だった。
「今まで…わがままばっかりでごめん。だけど、今なら言える」
蓮也はしっかりと俺を見つめ、
「付き合ってください!!」
と堂々と誇らしく言った。
「よろこんで」
と俺はプロポーズを受理した。
すると、蓮也の仲間たち(2回目に会ったときの連中)が俺らを祝福してくれた。
「実はさ、俺ら全員ゲイなんだ。その集いだったんだよ」
「そうだったんだ…」
「だがな、蓮也までもがゲイだとは思ってなくて、ゲイだと知ったとき、社会の同性愛に対する偏見に耐えられるかテストしたんだ。俺もそれを経験して仲間だと再確認した」
「みんな…」
「これでお前も俺らの正式的なメンバーだ。これからもよろしくな、蓮也!」
「おうっ!」
蓮也の目には大粒の涙があった。
「俺も加わってもいいか?」
俺はリーダー格の人に聞いた。
「もちろん!」
「じゃあ俺は風紀委員みたいな感じで」
「なんだそれ」
みんなはドッと笑った。こうして笑っていられるのが1番なんだよな。
Fin