再会
その日、俺はいつもより1つ遅い電車で帰り、いつもの駅に着いたのは午後8時だった。
いつもの駅の売店で飲み物を買っていると
「ひさしぶりだね」
と蓮也がやってきた。
「今からどっか遊びに行くのか?」
「まあね。友達の家に泊まるんだ」
「ふうん。非行だけはするなよ。自分のためにも、学校の名誉のためにも」
「わかってるって。それよりさ、僕の舎弟にならない」
俺は蓮也の頭を軽く小突き
「お前さ、俺を同い年か年下に見てないか?」
「そ、そんなことないよ、うん」
「へえ…。じゃあなんで"舎弟になれ"とか言ったんだ?」
「それは…」
そのとき、蓮也の仲間らしき人が続々と来た。
外見だけで警察に訴えられそうな人が人が何人かいる。
「おい、蓮也。早くしろよ」
「ごめんごめん」
「そいつ、誰だよ」
初対面にいきなり"そいつ"呼ばわりかよ。
この街も廃れたな。
「ああ、こいつは…」
俺はギロっと蓮也を睨むと蓮也は慌てて訂正した。
「この人は僕の舎弟」
「だから舎弟じゃねえっての」
すると、さっきの仲間らしき人は俺の顎を掴み、顔を上げた。
「な、何すんだよ…」
「へえ…けっこうかわいいじゃん」
「か、かわいい!?寝言は寝て言えよ」
「こいつが蓮也の…」
「うわああああああ」
蓮也は仲間の話を遮るように喚いた。
「と、とにかく、じゃあね。また明日」
「明日土曜日だぞー」
「あ、そっか。じゃあ月曜日」
「絶対に非行すんなよ」
「わかってるってー。あはは」
蓮也は軽く笑いながら駅から出て行った。
「ふう……」
とため息をつくと
「お客さんも大変ねえ」
と売店のレジのおばさんが声をかけてきた。
「ええ…。あいつ、俺より年下なんですけどね…」
「まあ、高校生にもなって年上に敬語使えないなんて。この街ももう終わりね。わりといい街だと思っていたのに」
「でもまあ全員が全員悪いってわけではないようですから」
「そうね。それより商品決まった?そろそろ店じまいなんだけど」
「そのこと忘れてた!」
「じゃあ急いでちょうだい。特別に150円以内のものなら100円にまけてあげるから」
「ホントですか?」
「ええ。いつもこの店を使ってくれてありがとね」
ということで、俺は149円の飲み物を100円で買った。
そこから自転車を走らせること30分。
自宅に到着した。
遅くなったことを報告しなかったため母に怒られたことは言うまでもないだろう。