シドの木
掲載日:2012/03/26
この世界のどこかに、シドの木という木が存在するらしい。
そこには、この世界で死んだ人の魂が集まってくると言われている。
僕は、シドの木を探す旅に出た。
それから数年後、僕はどうやって行ったかも覚えていない町で、シドの木のある場所を耳にした。
それは、この町の外れを流れる大きな川の向こう岸にあるという。
舟を使って、僕は向こう岸へと渡った。
そして、そこには、巨大な木があった。
幹に近づいてみると洞窟のような穴が空いていることに気づいた。
中に入って、奥へと進む。
すると、真っ暗な中から、突然、眩い光に包まれた。
直径が二キロはありそうな幹の中には、広大な空間が広がっていたのだ。
そこで僕は、彼女に再び出会った。
「どうして……どうして、あなたがここにいるの!」
彼女は涙ながらに怒った。
どういうことか分からなかったが、僕はあることに気がついた。
……途中に渡った川。
つまりここは――。
「私に会うために命を捨てるなんて。あなた、バカじゃないの!!」
ぽろぽろと涙をこぼしながら、彼女は叫んだ。
そう、シドの木は世界のどこにも存在しなかった。
ここは、死後の世界だったのだ。
この話は、某ビジュアル系バンドとは一切関係はございません。




