世界よ...彼女に祝福あれ

「三島くんは大切なもののためなら全部投げ出せる？」

最愛の人。小揺木天音をかばい、三島賢介は死ぬ。
死の先には見知らぬ地。そこは冥府だった。
眼前にはタナトスと名乗る冥府の神が顕現し、俺の運命を嘲笑した。
三島は彼女を守れたことに少なからず満足感を持っていた。だが、タナトスは彼女の死は避けられぬものであり、死は最速で一分後に迫ると告げる。
その言葉に三島は自身の死の無意味さ、世界の不条理を呪う。その姿に期待の眼差しを向けるタナトスは蘇りを提案する。そしてーー
三島は生を取り戻し、運命はあらざる未来を刻む。三島は現界へと帰還した。そして、死を運命付けられた彼女を守りきるナイトとして今生を彼女に捧げると誓った。自分に生きる意味をくれた彼女のために。
しかし、三島は知らない。この世界には三島の知らぬ裏側があることを。
運命に抗うものに訪れる代償とも言うべき敵。それはこの世界に暗躍し通称：タナトスの直系と呼ばれる。それは三島が与えられた能力と同等、またそれ以上の異能を有する集団だった。
タナトスの直系たちは、世界の理から外れる者たちを死という結果に引き戻そうと次々と迫り来る。
三島はなぜ彼女が死なねばならないのか。その疑問を解消することができずにいた。敵と交戦する中で徐々に紐解かれる世界の真実。少しずつ確信に近づいていく三島はある真実へと辿り着くのだった……

愛するもののために全てを投げ打つ覚悟があるか。最愛の人を守るためならば世界も敵に回せるか。君と最愛の人を除く約70億の命に後ろ指を差されようと生きる覚悟が君にはあるか。
「俺は最初から小揺木さんのためだけに生きるつもりだったよ」
例え、望まぬ結末を迎えようと絶望的な状況でも三島は抗い、ここに生まれた意味を問い続ける。ただ彼女との明るい未来を夢見て。彼はこう呟き続ける。
「世界よ…彼女に祝福あれ」