表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

21世紀ボリビア紀行

作者: 山内 順一

地球上にはまだ現実の不思議がある。

   Bolivia Morales 大統領の就任(再選)式

伝統的な太陽神の神殿前と、首都の立法・行政府とでボリビア時間21日と22日にそれぞれ行われた。

太陽神の神殿の遺跡は首都La paz より車で2時間ほどの TIHAUNAK の高原の地表に露出している神殿の上で行われた(表層部のみ発掘済み)。会場には写真に見るように、南米大陸の全域、ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラ、ペルーなどから各先住民が集合した。遠距離バスで乗り付けた各民族・集団が、駐車場から代表旗を掲げて100名前後の単位集で次々と続々と会場に向かった。

各民族・集団は民族衣装に身を包み、長く太い笛と大小の太鼓とで民族音楽を演奏しながら行進して会場に踊りながら向かっている。

Morales 大統領は神殿近くのヘリポートに2機のヘリコプターで会場が熱気でむせ返るころ到着した。どちらか1機に搭乗、公表せず、ちなみに専用ヘリパイロットは沖縄3世の比嘉君である。


 駐車場から会場に歩いて向かう途中で前駐日ボリビア大使安次嶺氏と私は、下記の方に遭遇した。

Bolivia Comibol (最大の国有鉱山企業)  エンジニアのLapaca 

氏は安次嶺氏の大学の同級生とのことで、4,5年ぶりの再会という。彼らの大学はOruro 大で、地元では科学技術者の最高教育研究機関と知られているとのことである。

Universidad Técnica de Oruro

が正式名称であり、正に工科大学である。


 La paz より Tihaunak までの高原の平野は牧場とジャガイモ畑であり、豊富な農作物と肉生産の場となり、この国の食料自給率100%以上を見せ付けられる。所々に大型の耕運機がゆっくり動いており、タクシー運転手はあれがMorales present だと教えてくれた。また遠くの空には、神聖なイリマニ山が白雪を被り雲間から君臨して見えた。

 La paz より Tihaunakまでの高原の平野に入る前に、空軍基地のある町を通った、広大な平地がすぐそばにあるのに、道路に沿った両側には赤レンガの3,4階建ての建物が建築中である。渋滞する車からこれらをよく見ると、細い4本の鉄筋でつないで建物が上に伸びている。万が一地震があれば、即時に3,4階部は崩壊しそうだ。すぐそばに広い土地が続いているので、せいぜい2階建てにして、安全を確保したらと安次嶺氏に提案した。地元の人は高ければ偉くなった気になるので、どうも高く作りたがっている。ハイチ地震のこともあり、平屋思考を教育すべきと提案した。


翌日はいよいよ首都大統領パレスでの就任式である。

我々は、パレス前の木が茂った公園広場に居た。まずそこで12月国政選挙で、Santa Cruz 州(安次嶺氏の出身地)から立候補し、落選した方(安次嶺氏の仲間)に遭遇しその後一日中同行する。続いてトラック運送組合の委員長と合流、更にcoca 葉を材料中心にしたジュースを生産しようとしている方と遭遇した。


Coca Colla に対する先住民の意気込みである。


 次にMorales が進める農地解放の実行部隊の女性公務員指導者と遭遇し、農地改革委員会本部で、昼食会に招待された。Morales が進める農地解放とは、大地主と不在地主の大土地所有を禁止し、先住農民に土地を分け与える政策である。単に取り上げるのではなく、妥当な価格で買い取り(財源は石油と天然ガスで得たUSドルを当てる)国民に移転する。

 パレスのバルコニーに立ったMorales 大統領は延々2時間の演説をしたが、農地改革委員会本部での昼食を取りながら、我々は大統領の演説を聞いた。

ここで、一言お礼と日本の民主党政権のことを説明し、ODAなどを通じ何らかの応援ができるよう知人の国会議員にボリビアの情報を伝えますと挨拶した。

 広場に戻ったが、バルコニーからMorales は演説中で、広場は大混雑で、立っているのが精一杯であった。群集は、やはり組合、地域政党、チエゲバラ研究会、各種民族などの各単位で纏まっており、以外と整然としている。特に鉱山労働者組合の人たちは、ふちのあるつやつやの鉱山帽を被り、堂々と行進していた。


 遅い午後になって各大臣の新任と交代が発表された、リチウムの件で日本の新聞でも顔写真が報じられ有名になった鉱山冶金大臣は、交代し、鉱山労働者組合代表が新大臣に使命された、翌日の新聞写真ではやはり、あの独特な鉱山帽を被る先住民出身の方である。

複数の新任大臣は広場に出てきて、出身母体の後援者集団と抱き合って挨拶している。パレスに隣接した巨大カソリック教会はひっそりとして、歴史の変化に置き忘れられて哀れに見えた。

 その間、Santa Cruz 州(安次嶺氏の出身地)から立候補し、当選した女性議員(安次嶺氏の仲間)が広場に出て来たので、挨拶した、この方はインターネット上で地域の先住民を教育している女性指導者として紹介されており、日本ではWEB上で見てその偉大さは知っていた。

 

交通分離帯に緑のある大通りには、スペインに対して植民地からの独立を戦った騎士ボリビアーノ将軍の巨大な馬上の銅像などが至るところにある。またカソリックの聖母マリア像もある、これらの銅像は大地主、鉱山経営者、外国資本導入者、資本家などの富裕スペイン系白人の支配を連想させるので、目覚めた先住民政治家や一般国民にとっては目の上のたんこぶであるが、決して引きずり倒したりしていなない。

前駐日大使安次嶺氏によると日本の明治村のような大きな歴史公園を準備してそこに徐々に移しているという。そうすることで、今後先住民の子弟とともにこの国の未来を作る白人系子供たちに自分たち祖先へ誇りを持たせて共生国家への教育に生かそうとしている。


 市内ではここ数年急速に自動車交通が発達し、車の洪水が日常化して、排気ガスの充満はひどいものである。特に輸入中古車のディーゼル車では、黒煙を吐き出す大型バスと作業用トラックの排気筒から真っ黒の煙が出て見ているだけで息苦しくなる。高地ゆえの酸欠気味な訪問者にとっては耐えられない息苦しさである。

 残念ながら行きかう先住民の市民は老若男女ともこの黒煙には無関心で、顔もそむけず黒煙雰囲気をそのまま呼吸している。特に子供たちが3、4年後に日本のアスベスト人体公害のような肺機能障害病にならないか心配である。


 千葉大発の理科実権の一部を大学と系列の大学院大学で実演説明を行った、説明を聞いて頂いた副学長や所長は共に、教材の内容に深い興味と関心を示して頂いた。

その日は新学期の学生登録に日であったので、担当者の教官の部屋にいくまで、学生の人ごみを掻き分けて目的の建物にたどりつくことは大変であった。登録学生は大学構内からあふれて校門から街中の道路をぐるぐると取り巻きその熱心さは恐れるばかりである。


 翌日鉱山冶金省を尋ねた、直前までの鉱山冶金大臣と面会する目的である、入り口でパスポートを提示し、預けて入場する、大臣は会議中とのことで、広い廊下のソファーで待っていた。天井からつるされた電子掲示板には希少金属亜鉛、鈴、ダングスステン、白金、マンガンなどの国際価格が米ドルで表示されていた、世界の金属相場の変化をリアルタイムで表示しており、なるほど資源国家の中枢にいるのだと自覚した。

 しばらくして会議場のドアが開き、白人の中背の50代の背広姿の紳士が書類をいっぱい抱えて出てきた、そして前駐日大使安次嶺氏を見つけたこの紳士は感嘆の声を出して、前駐日大使安次嶺氏を抱きしめた当地の親しい間の挨拶であるが、熱がこもっていた。

共にORURO 大の同級生で、1年ぶりの再会である。彼こそが、2009年11月8日の読売新聞で報道された、ウユニ湖の試験工場で、リチウムの試験精製に成功して、Morales とともに抽出 製品を掲げて喜ぶ大臣である。

今回の内閣改造で大臣を離れ、新大臣には先住民から鉱山組合出身の方が任命された。この新大臣は国内対策が重点であり、リチウムの国際戦略には引き続きこの直前大臣Luis Alberto Echazuが担当するように、大統領から直接依頼されたという。


安次嶺氏はすばやく私を日本からの訪問者と紹介し、手早く写真を撮ってくれた、彼らは若き時代1970年代にボリビアの輝く未来を夢見てORURO大でともに学んでいたが、突如軍部右派の将軍による軍事革命が起こり、大学から命からがら逃走した仲とのことである。

 軍事右派のバンセル大佐は1974年に左派政党を解散させ、ボリビア中央労働者連合 (Central Obrera Boliviana : COB)の活動を禁止、さらに大学を閉鎖した。彼の任期であった1971年から1978年の間に権力強化を図った結果、数千のボリビア国民が他国に避難( 前鉱山冶金大臣のヱチェス氏)を余儀なくされ、3,000人が政治犯として逮捕(前駐日大使安次嶺氏)され、200人が殺害されたとされる。

前駐日大使安次嶺氏は日系人で、先住民の人権向上に加担、前鉱山冶金大臣のヱチェス氏は白人系でありながら国有資源の利益を人種に関係なく全ボリビア国民に還元すべきとの思想のゆえに、右派革命軍から犯罪者扱いされた。

前鉱山冶金大臣のヱチェス氏はスイスに亡命し、ついに軍事政権が崩壊するまで、帰国できず、スイスで学業を続け卒業し。就職し、スイス婦人と結婚し、先住民の目覚めが著しくなった後にやっと帰国した。帰国時は未だMorales 時代以前ではあった。安次嶺氏は牢獄からかろうじて抜け出し、SANTA CRUZの親族が経営するころにコロニアオキナワの農園に身を潜めて難を逃れた、彼らの青春時代の実話である。

 今回のMorales 大統領の2度目の出現は、Bolivia にとって苦しい時代を命をかけて生き延びた人たちの輝く建国の時代が到来したことを示す・結集したものである。

前述のエンジニアのLapaca 氏も当時の共に生き延びた仲間だという。


さてLa PAZ 市は深いV 字谷に沿った町である、あたかも巨大な龍が天空から身をくねりながら地上に降りてくる形となっている。日本のV 字谷の斜面は緑の木に覆われているが、このLa Pazでは両斜面には赤レンガの家々が建ち並びびっしりと住宅で埋まっている。

このV 字谷は無限に近くはるかアマゾン川の支流まで続いている、雨季にはV 字谷の斜面に降った雨は谷底に向かって流れ集合し、身をくねらせた龍となって、アマゾン川の支流まで流れるという。

V 字谷の斜面に沿った町はどこまでも続くが、市民はV 字谷の一方の斜面から他方の斜面に行くには谷底を目指して下り、その後目的の斜面の位置まで上る必要がある。  このような不便性を克服するために、最近3本の巨大つり橋が建築されている。1本の巨大橋は完成し、残る2本が建築中である。巨大つり橋の建築は自国の技術と資金で行われている。これらの技術は初期の鉱山開発次代にドイツの企業がボリビアに持ち込み、地元の青年たち(白人系)に教えたようだ、従って今でもドイツはこの国から尊敬されている。

V 字谷の斜面に沿った町は酸素満足度で低地に行けば行くほど裕福層が居住し、斜面の高地には新住宅が増えている、そこには下水道が未整備で市の課題となっている。


在ボリビア大使館に田中和夫大使を表敬訪問した、当地でも地上波デジタルTVが実施されるが、方式をEU方式、アメリカ方式、日本方式にするか未定、是非日本方式を採用してもらいたと大使は述べていた。


12月の大統領選挙では、NECの人体承認システムが不正投票を排除し、世界にその公明選挙を示した、この勢いで是非地デジシステムでも日本方式が採用されて欲しいとのこと。

午後には、教育省内にあるJICAを尋ね中島氏と面談した。


 千葉大発理科教材が導入されることをお願いした。また1955年から2004年まで、南米のJICA活動で功労のある上原盛毅氏の話題が出た、氏は自らプロジェクトを作り移民の方たちと共に働き、今日の日本人社会を尊敬されるものに作り上げたという。


2010年1月23日の現地新聞では、インドの鉄鋼企業に鉄鉱山の採掘を21億円で試掘させるニュースが出ていた。


La Paz 市の教育委員会を訪問した、市では市民に対して身近な交通道徳を指導して交通事故を無くそうと努力していた、長い戦略的な市民教育では、非植民地教育を行っている。

非植民地教育では過去の白人系中心の社会教育でもいいものは取り入れ、先住民が主権者に加わった新しいボリビア市民としての誇りと自覚と、他者への思いやりの教育を進めているという。


ディーゼル車の黒煙対策では、下記新エマルジョン燃料で十分対応ができる。

ディーゼル 70% と水 30% に微量の「秘密液体(界面活性剤)」を添加し、自動分散混液になった内燃機関の新エマルジョン燃料。改良発明では「海水」でもOKで、世界的に画期的な発明、CO2削減が可能。

 物質特許;米国 United States Patent 5,997,591

日本特許:特許第3180915号(P3180915)


丁度雨季であり、現地新聞やTVではボリビア領域アマゾン川上流での増水が報じられている、次第に増水域が農村地帯に近づくので、低地の農民は不安とのことである。

対策では計画植林を行い増水流の方向を予測可能にすれば、一定の安心感があり、農民も対応が可能という。理想としては、巨大資金がかかる平地堤防ダム(発電も可)をつくり流れをキチンと制御すると、なおいいとのことである。

以上

2010年2月5日

山内 順一

株: クランニー・テクノロジー  メール:yamanouti@ep-s.jp   

 東京都千代田区西神田2-7-5-306 電03-6268-9718,

 080-1274-6653


ボリビア現地でチエゲバラ思想研究会が存続しているのには驚いた、先住民を目覚めさせたチエの教えは尊敬に値する。平和や民族の発展は武力ではなく、学習と自覚と自信と本心から話し合う努力だと実感した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ