六章 生まれ故郷へ
中学を卒業すると同時に卒業生たちは剣士団に入団していった。
でも、私は剣士団に入団せず施設を出て大工の雑用として生活を始めた。
どうしても東輝水に残りたかったからっていうのが理由だ。
週六から週七勤務で月給十リズで生活はいつもギリギリだったけど、親方たちとは仲良くやれてたし毎日楽しかった。
どうしても金がない時はニコ聖職者が管理する小教会に行って食べ物を貰ったりもした。
東輝水でそんな生活を送っていた十八歳の冬、私は体を壊して仕事を失った。
治療費と入院代で借金を負った私は何とか金を稼がないとヤバいと思って東輝水を離れる決意をした。
剣士団へ入団希望を出すとその場で面接が始まって一瞬で入団が決まった。
「週休二日、祝日は年末年始と梨々香陛下の生誕祭だけあります。月給は三十八リズから十八リズ・・・」
職員はタブレット端末を操作しながらそう言った。
「三十八リズ・・・すげぇ額っすね」
キャリッシュは職員を見て笑みながらそう言った。
「まぁ、キャリッシュさんは南方でほぼ確定ですから十八リズと思っていてください」
職員はそう言うとタブレット端末を差し出した。
「十八リズでもすげぇや」
「ここに署名をお願いします」
職員はキャリッシュを見て笑みながらそう言った。
「はーい」
キャリッシュは簡単に名前を書いた。
神護国歴五十年、十二月二十日。
私は愛車のバイクに乗って配属先の南方剣士団に行った。
私を待っていたのはミッケ総長と世界教皇様だった。
「華千﨑 華です。中央剣士団団長の代理として来ました」
華千﨑 華はキャリッシュを見てそう言った。
「は、はい」
キャリッシュは華を見てそう言った。
「キャリッシュ・ローゼ・カーリンさんには金輪の勇者候補として精進してもらいます」
「は、はい・・・?」
キャリッシュは驚きながらそう言った。
私は金輪の勇者候補として採用されたため配属先が南方剣士団になったようだった。
配属された当初は全然環境に馴染めずにいた。
でも、姉弟子にマリーがいたから何とか続けられた。
南方剣士団に来てしばらく経った時、配属されてから初めてミッケ母さんと二人で話す機会があってさ。
そこでミッケ総長に謝られたんだ。
「私は親としてあまりにも未熟者だった。まだまだ未熟者だけど、誇れる親になれるように頑張っていく。だから、また家族になってくれる?」
ミッケはキャリッシュを見てそう言った。
「・・・あぁ・・・まぁ、うん」
キャリッシュはミッケを見てそう言った。
この時抱いた感情は特になかった。
怒りも喜びもなかった。
早く借金を返して金を溜めて東輝水に戻りたいということだけ考えてた。
そして五ヶ月後、私の思いが最高潮に達する出来事が起きた。
次回
七章 分かれ道




