十五章 大人になる時
神護国歴五十二年、三月二十六日。
第一次投票期間が終わり、第二次投票期間が始まった。
残った候補者は二十四名、私もその中に残った。
第二次投票期間から同時に民間の報道会社による取材が解禁され、報道各社が金輪の勇者候補を取材するようになった。
東と西と北の報道各社が姉弟子マリーを取材する中、南煌炎と中央の報道各社だけは私のことを密着取材した。
密着取材っていっても私はいつも通りに過ごしていただけだった。
でも、思った以上に評判が良くて私の名前は一気に広まった。
日が経つにつれて私の演説台の前にも住民が集まっていった。
「キャリッシュ・ローゼ・カーリンは七陽の勇者が目指すべき場所を理解しています!!」
「キャリッシュ・ローゼ・カーリンは必ずや魔女が恐れる刃となります!!」
マイクを握ったキャリッシュの支援者たちは次々と立ち止まる南煌炎の民を見てそう言った。
姉弟子マリーは私の演説に集まる住民を見て危機感を覚えたのだろう。
報道の規制を緩和するとか何とか言って報道各社を支援者にし始めた。
まぁ、でも、こんなことをするとどうなるかバカな私でも知っていた。
神護国歴五十二年、四月五日。
決選投票前の第三次投票期間が始まった。
姉弟子マリーの報道の規制緩和発言にシゼル・フィトミア・カーリン電波・電子産業管理局長官が嫌悪感を示し、早くも各政局のみで投票が行われる決選投票で電波・電子産業管理局からの票が得られないということが確定した。
私は政治的発言を一切行わず、陛下たちと共に神護国を護りたいという思い、魔女を必ず倒すという意思をただただ伝え続けた。
決選投票が近づくにつれて各政局の官僚と各政局の長官たちが挨拶に来るようになった。
最初に来た政局の長官は財政局の御神だった。
「グラディス・オブ・イェーツです。財政局長を務めております」
グラディスはキャリッシュを見て笑みながらそう言った。
「金輪の勇者候補、キャリッシュ・ローゼ・カーリンです。今日はよろしくお願いします」
キャリッシュはグラディスを見て緊張しながらそう言った。
「よろしくお願いします」
グラディスはお辞儀しながらそう言った。
「近々、華千﨑 華殿下がここを訪問します。民間報道各社も集まり、あなたの発言も注目されるでしょう。是非、恥のない態度と恥のない発言で臨まれるようお願いしますよ」
グラディスはキャリッシュを見てそう言った。
「はい!」
キャリッシュは背筋を伸ばしてそう言った。
大人はいつもこんな気持ちで生活してるのか。
ローラも、ニコ聖職者も、みんなこんな気持ちで生活してるのか。
大人になる時が私にも来た。
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