第8話 駐屯地にて
こんばんは。
投稿です。
今回は短いです。
投稿は諸事情で不定期不規則になりました。
文字数も減ると思います。
毎週木曜日を予定していたのですが、前作のように朝になるかもしれません。
しれっと明日の朝、2025.6.27 6時40分くらいに投稿しているかも。
では第8話をどうぞ!
若は知りようもないが、噂は面白おかしく国中に広がっていた。
最早手遅れである。
いや、手遅れも何も噂は止めようが無いのだ。
……隊長……
隊員の一人が囁き声と目で合図を送る。
(ん?なんだ?今、合図した?)
若は、更に好奇心に駆られ、曇った氷の窓に顔を近づける。
そう、窓には氷が嵌め込まれているのだ。
この国のステータス。
それは窓の氷、ガラスではないのだ。
如何に無色透明にするか、いかに白く濁らせ中を見えなくするか、その家の主、魔法使いの腕の見せ所なのだ。
綺麗な窓氷ほど技術力が高く、ご近所から評価される。
薄く強く、大きければ更に評価は高い。
また場所によっては白く濁らせ外から見えなくする場合もある。例えばお風呂、トイレ、寝所。
天候、季節に合せての氷窓の調整をする。
結果、魔力が使えない者は窓のない生活が待っている。
この技術は極寒の地で役に立つ。
スノーホワイト国で生れた必然の生活魔法。
遭難した場合、簡易避難所を自前で作れるのだ。まさに生れるべくして生れた魔法。
それに防犯にもなる。
こんな具合に。
さっ、と濁る氷窓。
(ヤバッ!気づかれた!?)
若の反応は速かったが、今後の展開に興味があった。
(中を見えなくした!オレ様に気づくとは、どいつだ?この3人の中の一人……ああ、この背が小さい女性か?魔力がかなり高いぞ!)
氷窓は瞬時に水になり、紐状に形を変える!
(ほう、これで縛るのか!)
魔力の流れが見える若にとっては、先読みが出来るのだ。
蛇のようではないか、と感心している若に、突然の魔法攻撃!
「ニャンッ!?」
別方向から炎の矢が1本!飛んできたのだ!
軽く躱す若。
(こいつ!無詠唱だ!ヤバッ!次は当たるかも!それに異なる属性魔法を同時に使った!?国境警備隊、侮れん!)
(若っ!油断大敵ですぞ!パーフェクトではありませんなっ!)
若と共鳴しているゴンザは、周囲の状況が若を通して見えるのだ!
(うるせー!)
が、次は来なかった。
(なんだ?)
「「「にゃん?」」」
パジャマ姿の女性3名が窓をガン見する。
その女性3人を見返す白黒ネコ。
「の、覗きじゃないの!?」
「ま、まさかぁ、国境警備隊に覗き?重罪だよ、私達の扱いは女性騎士に準ずるですから、ですよね隊長?……隊長?」
「な、なんだ!?なんだあの生き物は!」
そこには、瞳がまんまるの白黒ネコがいた。
「「きゃあああああああああああああああああああっ!」」
(うわあああっ!?な、何だ!?どうした!?)
慌てる白黒ネコ!
ビクッ、と身構える!
「なに?なに?一角の赤ちゃん!?可愛いっ!可愛すぎるっ!」
(は?)
「違う!一角はもっと大きい!ツノも無い!それにこの子は、この子は白黒模様よ!」
(お、俺のことか?この子って!?)
「え!?じゃなに?この子!?一角の赤ちゃんの赤ちゃん!?」
「赤ちゃんが子供産むわけないでしょう!」
「じゃ、何よ!この子!」
(ネコだよ)
「これ、も、もしかしてヌッコじゃない?」
「それを言うならネッコでしょう!」
「ねこよ」
隊長のがクールに言い放つ。
が、その表情は眼がウルウルで、手は小刻みに震えていた。
(なんだ!この生き物は!白黒のネコ!?首都には数匹野生のネコ(野良猫のことです)がいると聞いたが何故ここにいるのだ!?もともとここは極寒の地だぞ?ネコは寒さが苦手なはず!まて……これは!耐寒装備のネコかっ!?いや、耐寒仕様かっ!?)
いや、隊長さん?それって、どんなネコよ?
じりじりと寄って来る3人のパジャマ戦士。
ゆっくりと後に下がる白黒ネコ。
窓枠で、後がない!
「どうしたんでしゅかぁ~こわくないでしゅよぉ、こっちおいでぇヌッコちゃん!」
(いやだぁ、なんか怖いよう!魔法で攻撃したじゃん!)
「かわいいでしゅねぇ、お外は寒いでしょう?お部屋にどうぞぉ、ネッコちゃん!」
(こえーよっ!何だよ!その口調っ!お前らホントに国境警備隊かっ!?)
今回はここまでです。
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