第69話 鏡の中のナイフ
おはようございます。
毎回ご愛読ありがとうございます。
「ホントに瀕死かこいつ?元気いいな!あと、ポットと会話ができりゃぁ治療も進むと思うんだが、今度じじぃに提案するか」
「ひーん、出してぇ!お外に出してよぉ!」
恐怖のあまり、幼児退行を起こす最弱四天王。
そんな女性に対し、限りなく冷たい雷神王。
「うるせぇなぁ、ポットは防音じゃなかったっけ?」
プシュウウウウウ、と軽い音が聞こえてくる。
どうやら催眠ガスのようである。
《わ、私を眠らせてどうする気!?……お願い、外に出し……すぴー……》
「やっと静かになったか、ん?」
そこに鬼の形相で駆けつけるメイグ姫!
「おとうさぁんっ!何をしたの!?」
「何もしてないぜ?」
「うそっ!女の人の悲鳴が!これから何かする気でしょう!」
「しねーよ!下半身ねーし!」
「か……おとうさんっ!敵将の女性がどんなに綺麗でも、酷いことしたらダメ!」
まったく信用されていない雷神王。
いや、この場合は父親か?
日頃の行いは、いつでも、どこでも反映される。
ポット表面をチラ見するメイグ姫。ポットはメイグ姫の視線に反応し、治療中の患者の顔が見えるように一部の装甲をスケルトン化させる。
そこには、明らかに涙を流している敵将の顔が見えた。
機械に埋もれているが、長い睫、薄い唇、幼さが残るその顔は女性と言うより女の子である。
「おと……雷神王っ!わがスノーホワイト国は強姦、強奪、拷問はしないっ!」
「メグ、世の中には建前と本音という言葉があるんだぜ、それに戦いは殺し合いだぞ」
「それでも!たとえキレイごとと言われても!」
「敵国はやりたい放題だぞ、見ろこいつを!こいつはじじぃの話しだと精神コントロールを受けているそうだ、国の言いなりだぞ!レッド・ブーツ帝国の民もそうだ、呪符を埋め込まれ逆らえない!お前は、自分が捕まった場合、どうなるか分かっているのだろうな?」
「!……それは……」
街がざわめき出す。
街人が異変に気づき始めたのだ。
「……さて、俺はこの街ではイッカイさんだ、あとは頼んだぜ?騎士団響弓の隊長さん!」
そう言って、ふっ、と消える皇帝陛下。
「ち、ちょっと!む、娘に丸投げして消えるのぉ!?おとうさん!?」
もうそこには気配すらなかった。
「もーっ!」
いつも、こんな感じだ。何でもかんでも周囲に丸投げする。
でも王が全てに携わっていたら大変だ。そんな国は傾きはしないか?
丸投げは信頼の証としよう、メイグ姫はそう思い、右近と左近のポットを探し始める。
「えっと、どのポットだったかしら?」
そう、姫はお付きに丸投げするつもりなのだ。
「街長への説明と壊れた道路や建物の修理手配、あと警戒の強化かなぁ、それと首都ホワイトパレスへの連絡!あ、このポットだ!強制解除、っと!」
プシュウウウウウ!
右近と左近の苦労が始まる。
そして物語は少し前に戻る。
そこは一の賢者のラボ内。
副長は短剣の柄に手を伸ばし、一の賢者は魔力を高める。
「副長、何者だと思う?」
「わかりません」
「消去法で誰が残る?ここに入れるのはお前さんクラス以上の者だ。心当たりは?」
「……雷帝と炎帝くらいでしょうか」
それは暗闇から現れた。
「にゃーん」
「「!?」」
「とうとう来ましたね、可愛いネコさん」
鏡の中の女神グネが歓喜する。
「雑貨屋のネコ?」
緊張を解く副長と一の賢者。
彼らは小動物は結界の対象外と知っているのだ。ならば、このネコは無害だ。
式神や獣人、敵意のある見せかけの動物などは結界に弾かれる。
「ふふっ、あはははっ」
女神の笑い声に、狂気が混じる。
その笑い声に畏怖を感じ、二人は鏡を見た。
「!?」
そこに白黒ネコは映っていなかった!
鏡に中にいた者は、鬼のような仮面を着けた人物!
「「……雷帝!?」」
次回投稿は未定です。




