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赤い目の少年冒険譚 (2025.05)  作者: MAYAKO
第一章 四月世界

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第46話 母恋し     

おはようございます。

投稿です。


 お付き者達は動けなかった。

 動けば、一の君の命がない。そう、感じたのだ。

 この店主の間合いに確実に入っている、我々も斬られる、もはやそれは確信であった。


 動いたらダメだ、そう判断した。

 それほどに、武威を感じていた。


 ……動けぬ……

 ……我は皇帝騎士団ぞ……なぜ動けぬ……


 お付きの者達は疑い始める。


 これだけの力、勇者でさえ下に見る皇帝騎士団や直属のアサシン達。

 彼らが恐怖を感じているのだ。


 そして一つの答えに辿り着く、このご老人、炎帝じゃね?

 見かけこそ異なるが、この雰囲気、力、炎帝じゃね?


 もしくは雷帝と炎帝の師匠じゃね?


 そんな緊張をよそに、静かにハーブティーの飲む二人。


「これは……薔薇ですかな?」


「はい、よい香りでしょう」


「……解呪のヒントが欲しい、何かご存じではないか?」


「私如きに、質問ですか?」


「鑑定士は賢者に通じる、ワシはレッド・ブーツ帝国の暴挙を止めたい」


「そうですなぁ……一つ、疑問がありまして」


「ほう、どんな?」


「まず、その前にこちらも聞きたいことがございます、よろしいか?」


 これはチャンスだと一の君は思った。

 交換条件!こちらにもカードがあったのだ!


「ワシの知っていることなれば、何でも話そう!」


「失われた王子をご存じか?」


「!!!!!!!!!!!!」


 一の君の動きが完全に止まる。

 ごく一部の者しか知らない失われた王子。

 ゴンザの目に殺気にも似た感情が漲り始める。


「一の賢者、ご存じか?捨てられた子のことを?異界に赤子を捨てるなど、これ、如何に?鬼の所業か?いや、鬼族でもするまい」


 ここで話しを進めてよいモノか?ゴンザは躊躇う。

 若と同席がよくないか?いや、若は知らない方がいい事実もあるか?

 さて一の賢者よ、どう返事を?


「店主殿、やはり雷帝は……この話しは日を改めたい」


「お人払いが必要かな?」


「くっ……」


 そう、今となっては誰も知らない話しなのだ。


「……では呪符について語ろうか。呪符は血、骨を侵食しそれに成り代わると聞きましたが?」


「そうじゃ」


「そこがおかしい」


「?」


「子は母の血で育つ、へその緒を通し腹の中で育つ、なぜ呪われた血で育つ?」


「そこに気づかれたか」


「産まれた子になぜ、改めて呪符を埋め込む?呪われた血で汚染されているのではないか?」


「その謎が解けぬ」


「生れてすぐの子は、呪われておらぬ、なぜだ?なぜ毎回呪符を埋め込む?」


「へその緒を調べたが、分からぬ、血がへその緒を通ると浄化される、母乳もじゃ」


「母乳?」


「店主殿、母乳は血液じゃ、血が乳を通ると母乳になる。母乳は汚染されておらぬ」


「呪われた呪符、魔力を打ち消す何かが女性にはあると?」


「そう、それが分からぬ。どう調べても浄化のシステムが解明できぬ」


「……」


「店主殿、どうされた?」


「誰かが、祝福しておらぬか?生れた子や生れる子を」


「!」


(おぞ)ましい呪いを打ち消すほどの祝福を、世界に向けて行なっていないか?」


「聖女は代々レッド・ブーツ帝国の手に落ちている、では……」


「はて、世界中の子供を祝福するなど聖母が地母神、四月世界の女神か」


「!」


「誰にせよ、レッド・ブーツ帝国は近々滅びましょう、噂の炎帝殿の太刀は降魔(ごうま)の太刀と聞きます、他者を呪う者はこの太刀から逃れることができないでしょうな。元を絶てば呪いが消えることはご存じでしょう」


「……それでは困るのじゃ、呪いの解放に耐えられん者がおる!」


「ではいち早く解呪の方法を見つけられるがよかろう、時間は余りありませんぞ。雷帝殿は気性が激しいと聞く、一度怒れば手が付けられませぬ」


 もし、雷帝が異界に捨てられた王子ならば、その寿命は4分の1、魔力は膨大かも知れないが、この世界ではすぐに燃え尽きるのでは?


 一の君は考える。


 百歳で寿命なら、異世界に行って五十歳、戻って二十五歳。

 いまの雷帝は何歳だ?あと何年の命だ?


「雷帝殿の命は……」


「さて、どうでしょうか、私には分かりませぬ、が、短いでしょうな」


「なぜそこまでして、雷帝殿はこの世界に?(こだわ)るのだ?」


「わかりませぬか?」


「分からん、命を粗末にしているとしか思えん!この世界に命を削るだけのモノがあるのか?」


「雷帝殿にはあるのでしょうなぁ」


「では炎帝は!?」


「炎帝にもあるのでしょう、強いて言うなら」


「?」


「雷帝が不憫(ふびん)だったのでしょう」


「!?」


 今回はここまでです。

 ではまた次回。

 

次回投稿は遅れます。

色々を何やら忙しく、時間が足りません!

ではまた次回。

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