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赤い目の少年冒険譚 (2025.05)  作者: MAYAKO
第一章 四月世界

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第38話 勇者と聖女     

おはようございます。

投稿です。


(ゴンザ、聞こえていないよな?)


(賢者とは言えこの世界の賢者、三月世界から来た我々とは魔力量が違いますし、若の呪いは喩え賢者でも解呪は無理でしょうな)


(解けねーかぁ。いいんだか、悪いんだか……お?こいつ、ネコ好きか?)


 シワシワのデカイ手が、わなわなと動き出す。

 早速シャー、の用意をする若。

 一の君が手を伸ばそうとすると、エリ・ナリはまるで子供を庇うように白黒ネコを抱きしめ、ゆるり、と下がった。


(お!?……そ、そんなに抱きしめるな!あ、圧迫されて痛―んだ!)


「実験動物ではありません、この街の大切なネコです」


(!)


「おいおい、ワレは全てを実験動物と見ているわけではないぞ?」


 誰がその言葉を信じるの?と、言う言葉をゴクリ、と呑み込むエリ・ナリ隊長。


(ゴンザ、このじーいちゃんの目!なんか邪なモノを感じるぞ!)


 周囲には、もう街の住人はいない。

 子供達など、一の君を見た瞬間、ダッシュで逃げている。

 それ程異様な雰囲気を纏っているのだ。


 ここは、話題を作って意識を逸らさなければ!

 エリ・ナリはそう思い、疑問をくちにする。


「勇者一行を捉えたようですが?医療ポットに収め、治療中とか?」


「ああ、命は繋いだ、さすがはワシの医療ポット!彼奴らには話がある!ちょうどよい国境警備隊、付き合え!」


「はっ!」


 返事をしたのは副長。明らかに隊長を逃がそうとしている。


「お前ではない、お前はポッドに入っておれ!」


 一の君が一睨みすると、近くのポッドが音も無く開いた。


「制服のままで構わん、ほれ!」


 そう言ってドカッ!と高齢とは思えない速さで副長を蹴り飛ばした!


「おわっ!?」


 ひょい、と動く医療ポット!


 収納されていた、腕と脚が展開され、まるで捕食者のようにパックン!と副長を呑み込む!


(ゴ、ゴンザアアアアッ!な、なんだ今のっ!?一角?いやカワズ(作者注:カエルさんのことです)みたいに動いたぞっ!)


 目がまんまるになる白黒ネコ。

 痛さも忘れてエリ・ナリの胸にしがみつく。


(なんだありゃ!?医療ポット!?副長のヤツ!食べられたぞっ!)


(ゴーレムのようですな……一の君とは何者でしょうか?明らかにこの世界の魔科学力を上回っておりますぞ!)


「ん?どうした?」


 驚くのは若だけではなかった。エリ・ナリも驚いている。


「こ、これが最新式の医療ポットですか?」


「おお、そうじゃ、今までは騎士団やら専用部隊が持ち運んでいたが、これからは自律、自ら進んで現場に赴くぞい!どうだ?凄いであろう!」


「……これだけの医療ポット、どうやって運び込んだか疑問でしたが、自らここまで来たのですね?」


「わはははっ!首都ホワイトパレスから歩いてここまでな。護衛は必要だが多少の敵なら蹴散らすぞ!ははっ!」


(は?蹴散らす?医療ポットとは?我ら国境警備隊もその内ゴーレムに取って代わる!?)


 エリ・ナリ隊長は考えた。戦闘用医療ポットとか作り出したりするのでは?と。


「ついて参れ!」


 一の君の後について行くエリ・ナリ隊長。


(おい、ゴンザ、なぜオレを放さない?)


(さあ?お守りでしょうか?)


(はぁ?なんだよそれ!)


「これが勇者御一行の医療ポットだ。まだ完全回復はしていないが……開けるわけにはいかんなぁ」


「それは呪符の分離ができていないからですか?」


「そうじゃ……このワシの力をもってしても、この呪符の解除はむずかしい……哀れな……勇者、聖女、御一行殿……」


(ゴンザ、解呪は無理か?)


(不可能でしょうな)


「一の君、そもそもどんな呪符なのです?」


(お、いい質問じゃん!)


「血に溶け込む呪符、呪いじゃ、血に溶け込むから分離が難しい。隊長、そもそも血液はどうやって作られる?」


「え!?血、ですか?……??」


(若、お教えしましたよね?)


(確か骨だったよな?ゴンザ)


「血は骨から作られる」


「え?骨は硬く、とても液体を作るようには見えませんが?」


「見かけではない、ということじゃ。この呪符は血の次に骨を支配する」


「!……恐ろしい呪符ですね」


「ああ、だが考えたヤツは天才じゃな。そして最後に意識を支配する。決して逆らえない民の完成じゃ。命令は必ず実行される、全てが支配者に逆らえない。支配者にとっては最高の呪符じゃな」


「逆らうこと自体できないと?」


「そうじゃ、聖女は外交の性接待に利用され、勇者は見世物として弄ばれる。己の意思とは関係無しにな」


「一の君!」


 慌てるエリ・ナリ隊長。

 ポッド内の勇者と目が合ったからだ!


「……すまんな、勇者。ここで話す会話ではなかったな」


「……いえ、事実ですよ、一の賢者」


 ポッドから警告音が響き出す。


「一の君、これは?」


「……僕らは一の賢者の確保、できなければ殺害の命令を受けている」


(……ゴンザ)


(はい)


(せいせったいって、なんだ?)


(……若、今は勇者を抑えるのが先では?)


「ワシの確保?殺害?勇者御一行よ、そのポッドからは出られぬよ、喩え勇者でも」


「!……デマカセヲ」


 その声はもう勇者の声ではなかった。


次回投稿は未定です。

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