第22話 プロミネンス
こんばんわ
今回はこの時間帯になりました。
急用のため、明日、明後日、7月12、13日はお休みするかもしれません。
巨大なブリザード・ワームが一匹。
その足下には数千匹の幼虫が蠢いていた。
幼虫の大きさは50㎝くらいであろうか、筒状の虫で、ムカデが膨らんだように見える。
その虫達が一斉に警備隊目掛け群がる!
演習場だった場所は、地獄と化した。
血と肉片、ブリザード・ワーム独特の臭いが辺りに充満している。
大地は大きく陥没し、その落差は20m程か。
ブリザード・ワームの出現と同時に大地が崩れ、沈んだのだ。
地中を移動するブリザード・ワーム、巨大な落とし穴は得意とするところ。
呑み込まれた第六国境警備隊2班は退路を断たれ、壊滅状態になった。
「炎帝どの、さぁ急がれよ!皆喰われてしまいますぞぉ?ぎゃはははははっ!」
次々に倒れ、食べられていく隊員達。
それを遠目に、高笑いする虫使い。
一角パンサーは真っ先に狙われ、もう一匹も残っていない。
炎帝が一歩踏み出すと、周囲に数十名の虫使いや戦士が現れた。
ゆらり、と陽炎のような戦士達が弓を構える。
「……それ程までにして、環境魔法がほしいか?隣国の外道ども……」
ゆっくりを大太刀を鞘から引き抜き、仁王立ちになる。
「おや?炎帝さまはお怒りか?」
その大太刀が熱を帯び、赤く光り、更に黄色に、次は白色に輝き始めた。
彼らは炎帝を下に見ていた。
一撃でブリザード・ワームを倒しているが、その動き、速さは虫使い以下。
倒せぬ相手ではない。彼らはそう見ていた。
対炎帝装備、炎竜の鱗、防火の呪符、水、氷属性の鎧、ここまで耐属性防御を上げれば、炎は無効のはずであった。
「では、炎帝どの、あそこに行きたくば、我らを越えて行かれよ!」
突如炎帝の足下から湧き上がる虫達!
蜘蛛のようなその生き物は、粘液を膨れ上がった腹部から飛ばし、炎帝を絡め取ろうと群がる。
「我らの襲撃を見抜けぬとは、炎帝さま、あんたら魔力低すぎっ!げやあはははははっ!我ら虫使いのガキより引きぃぜ!死にさらせや!よくも我らが虫を殺してくれたなぁ!」
毒の矢が降り注ぎ、長槍が迫った!
次々に大地から現れる虫使い、毒虫。
「……ああ、確かに異変を感じる魔力は低いかもしれんな……」
ひっそりと呟く炎帝。
(感知魔力が高ければ、すぐにでも助けに来れたのだが……許せ、第六国境警備隊の戦士達)
白色に輝いていた炎帝の大太刀は、白銀色の輝きになる!
迫り来る毒虫、毒矢、長槍は消えてしまった。
「!?」
大地もドロドロに溶け、周囲は息も出来ないほど熱さだ。
驚く虫使い達。
だが、気づいた時はもう遅い、世の中のあるあるだ。
感知魔法は低いが、炎帝の魔力自体は天井知らず、溢れ出すくらいの魔力を所有しているだ。
それは若も同じであった。
「こ、これ……は……プ、プ……ロ……!?」
ジュッ、と小さな音を立て、次々に蒸発する虫使い達。
「ほう、プロミネンスを知っているのか?」
その問い掛けに答える者はもう誰もいない。
プロミネンスは上限を設定しない炎の攻撃魔法。
炎系最上級の技で、見た者、使った者も死ぬと言われているほどの危険な術だ。
その炎を纏い、炎帝は巨大なブリザード・ワームに向って飛ぶように走り出した。
(主を失ったのだ、ブリザード・ワーム達が暴走する!)
一方、第六国境警備隊2班は踏み留まっていた。
残った8名はお互いを背に、戦い続けていた。
魔力も高く、その攻撃は凄まじい!
その中に、ドリの姿もあった。
「ドリッ!さがれっ!」
「どこへさがれと?げふっ」
血の塊がその小さな口から溢れ出る。
「いいかぁ、ここは前へ出ろっ!進めぇ、て言うんだよ!一匹でも多く倒して、後続に任せるっんだ!」
ドリは右腕がなかった。
満身創痍、出血が酷く、もう助からないであろう。
他の者達も同様だ。
それでも彼女は剣を振るい、幼虫どもを串刺しにしていた。
「どりっ!ドリッィ!」
「……」
「虫どもの動きが変だ!」
ふっ、と暖かい風が吹き抜ける。
「!?」
「なんだ?」
その風は段々と暑くなり、熱風になる!
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