第135話 雷蛇と魔女回路
おはようございます。
投稿です。
野心ある母親、面白し。
魔女回路はこの母親、グミ・アイアンが非常に気に入った。
〔勝気?負けず嫌いなのであろうか?街からの仕打ち、ワシだったら確実に街を……〕
(魔女かあちゃん!)
〔なんだ?ベビィ?〕
(俺、狙われているのかよ!?)
〔獣人族は基本、強さを求める〕
(ふんふん)
〔まぁそれは大人も子供も同じだ。奴等が欲しいのはベビィの遺伝子だ〕
(ふんふん?)
〔より強い子孫を残そうとするのは、本能だ〕
(ふーん……本能?なんで?)
〔……なんで?とは?〕
時々雷蛇の思考が分からなくなる魔女回路。
まぁそれが面白いのだが。
(グミかあちゃんは満月の3日以外は狼形態だろ?)
〔ふんふん〕
(父ちゃんは魔力が弱く、再生能力も低い、俺の見立てでは、あの腕はもう再生しない)
〔!〕
(獣人族としては能力的に弱い)
〔……ふんふん〕
(遺伝子的に弱ってことになるのか?)
〔一概には言えない、だがこの世界の獣人族と比較すると、ベビィの言うとおり弱い〕
(じゃ、なんで結魂したのさ?)
〔!〕
(より強い子孫を残す本能?魔女かあちゃん、それ当て嵌まるか?)
〔……ふん……〕
(二人は愛し合ったのだろう?それは衝動か?気の迷い?それだけじゃないだろう?違うだろ?)
〔何が言いたい?〕
(愛情は、本能を越えないか?見ろよあの元気な子供達を!)
コジリンと無心に遊ぶ子供達。
飛び跳ねてゴロゴロと転がっている。
〔……若いな、ベビィ〕
(考えが甘いかい?)
〔ああ、甘い、弱い者は喰われる、ベビィも知っているだろう?あの盲目の獣人、この世界で生きるのは難しい〕
雷帝は今までの世界を振り返る。
弱さを見せると死に繋がる世界ばかりだ。
〔だがこれはベビィの素直な考えだし、意見だ。まぁ遺伝子操作が得意なパンクザスチーム共和国では失笑だがな〕
(ふん、失笑ってなんだよ?)
〔あの国は強さが全ての国だったからだ〕
(でも滅んだ)
〔!〕
(強くなければ生き残れない、だけど強いだけでは駄目だ、病人や怪我人を切り捨てるような国は滅ぶ、この草原の弓もこのままでは滅ぶ)
〔断言したな?〕
(したよ、治療できないなら、せめて寄り添ってほしい)
ああ、ベビィを助けるために異界に飛び込んだメイドのことか?
魔女回路は自分と比較する。
私だったらそのようなことはしない、今回は巻き込まれたが、自ら進んで異界に飛び込むなど愚者の選択だ。
まぁベビィには目的があっての異界渡りだが。
〔ベビィ、お前の聖女の力で治療できないのか?〕
(出来ない、上位存在によってロックされている、生体ロックってやつだ)
〔ロック?お前でも解除出来ない?〕
(できない、何か意味があるのだろうか?)
そこにコジリンとカラビン村長が戻ってくる。
ゆっくりとした足取り。
カラビン村長は背中に一匹、両腕に二匹小さな狼を乗せている。
コジリンの方はその大きな兜に五匹の狼を入れて運んできた。
全員、遊び疲れて眠っているようだ。
「ん?かあちゃん、子供狼達、数増えてね?」
「ああ、増えているな?近所の子か?」
今回はここまでです。
次回サブタイトルは 第136話 狼の家族 の予定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




