第132話 街の裏
おはようございます。
投稿です。
「我が背の君、街には寄らないのか?」
先頭を歩くタジィが雷蛇に質問する。
街の門を迂回し、更に北を目指し始めたからだ。
「寄らないよ、カラビン村長は裏切りに遭ったし、ガ・ロウは叫びながら、何処かへ走って行ったし」
白黒ネコに猛然と襲いかかったガ・ロウは、食い付く寸前!
叫びだし、走り去った。
呆然としていた周囲。
全ステータスの大幅にダウンに傲慢なガ・ロウは耐えられなかったのだ。
「あの行動は異常だったな?」
「はい、そうですねご主人さま」
元気に歩くコジリン。
その横には雷蛇がいる。
ガンジョはいない。
カブトムシ村長ことガンジョは希少種の薬草を調べるため、一時パーティーを離れたのだ。
あの草花は、一輪でも無駄に出来ない貴重なモノだそうだ。
そしてその雷蛇の前をしっかりとした足取りで進むタジィ。
「あれは、殺意ある攻撃だった。だからきっとワルキュレーに刺されたのであろう」
2回も刺されたことは黙っている雷蛇。
目撃したことを話しても、恐れられるだけでは?と考えたからだ。
敢えて言う必要もあるまい。
「……コジねぇやタジィはワルキュレーを見たことあるの?」
「我はない、あれは魔力の高い者か、絶望に淵にいる者しか見えぬと聞いた」
「……」
コジリンは答えない。
「カラビン村長は?」
「ワシもないな、恐ろしい存在と聞く。だがこの世界の守護者とも言われている」
(だってさ、アンちゃん)
そう、戦女神のアン・アーオンは村長の横にいるのだ。
彼女は歩くことなく、大地を平行移動していた。
(ミケ、お前の魔力量は膨大だな、通常でも私と会話が出来るとは)
(でもアンちゃんと話すと、消費が激しいんだ)
(まぁそうだろなぁ……)
(どしたん?アンちゃん?)
静かに雷蛇を見つめるアン・アーオン。
(ミケは命を削って私と会話をしているのだな)
(そうなるのかな?)
(ならばミケとの会話は貴重であり、大切な、そう、特別な時間だな)
(お?アンちゃん、嬉しいこと言ってくれるね)
(ふふっ、そうか、嬉しいか)
「?」
コジリンが立ち止まる。
「ご主人さま、電くん、前方に村?家かしら?」
「街の裏手に家?」
《何だか、パンクザスチームに似ていない?》
「ああ、あれは私の家だ」
そう言ったのはタジィ。
木造の傾いた箱?
積み重なった木々は家とは思えない。
「……我の一族、家族は……コジリン、お前と同じ忌み嫌われている存在なのだ」
「え?」
タジィを見上げるコジリン。
「我の容姿、異様であろう?この身長、低い魔力」
「でもそれだけでは……」
その積み重なった木々から出て来る一人の男の子。
フンフン、と鼻を鳴らし、こちらに向って歩いて来る。
「タジィ姉さま?お客さまですか?」
「シュウジ、一人では出歩くなと」
「心配は無用です、ようこそ皆様、私はタジィ・アイアンの弟、シュウジ・アイアンです」
その盲目の少年は元気な声で名乗った。
「背の君、私の家族は魔力が低く、獣人でありながらその能力に満たない者が多いのだ」
早口に喋り出すタジィ。
「……なぜ街に住まない?」
「……それは……」
そこに現われる義手の男性獣人族。
「ん?これはカラビン村長では?」
「……ジョアンか、どうだ?義手の具合は?」
「はい、問題ありません」
「「カラビン村長、お知り合いか?」」
キレイにハモる雷蛇とユウバ。
「はい、ジョアンだけですが、お前こんなに子供がいたのか?」
「……ええ」
ひょこ、ひょこと草むらから顔を出す数匹の狼たち。
今回はここまでです。
次回投稿は未定です。
毎回ご愛読ありがとうございます。




