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赤い目の少年冒険譚  作者: MAYAKO
第一章 四月世界

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第14話 報告書と命令書     

こんにちは。

投稿です。

今回はこの時間になりました。


(……)


 言葉にならない、苦悩のような、あきらめのような思念が若から流れ出てくる。

 それは溜息か?


(ん?どうされました?若?)


(いや、鑑定士が看破出来ないほどオレの呪いは強いのだなぁ、オレって完璧なネコなんだ……)


(若、それは……)


(ふふっ、まぁ気にするなゴンザ。この強力過ぎる呪いのお陰で、オレはネコとして自由に振る舞うこととができる、こうして警戒されることなく施設にも入れたしなぁ)


 そう言って着替え中のドリに眼を移す若。

 男性の身体と違い、柔らかさのあるライン。

 腹筋は割れているが、それでもしなやかな動きに魅せられる白黒ネコ。


(……!)


 慌てて眼を逸らす!


 バレたら嫌われるだろうし、ネコとして優しく扱ってくれた者に、これは裏切り行為では?そう思った瞬間、眼が逸れた。

 眼福、眼福とか思わぬでもないが、彼女達の素直な気持ちを踏みにじるのはいけない、と良心が抗議してきた模様。


「ドリ、若さん眼を逸らしましたよ!」


(ギクッ!)


「はぁ?」


「若さん、あなたは中々紳士でしゅねぇ、そうです!着替えを覗いたりしてはいけませんよ!」


(……わりいぃ、反省するよ。でもよぉ女の子に惹かれるんだ)


「それとも、あのデカい高級メロン2つが、気になりましゅかぁ?怖かったでしゅかぁ?」


 ガチン!これはドリの心の音。

 何かがぶつかったように、シュウミンを睨むドリ。


「……何か棘がある言い方ねぇ?いや、身体的特徴を攻撃するのはやめてくれない?」


「ええっ?そんなぁ攻撃!?褒め言葉よぉ?」


(……おい、緊急会議はどうした?同じ部隊だろう、仲良くしろよ!)


 さっ、とシュウミンの腕を逃れ、ドアをカリカリする若。


「「!」」


(速く行こうぜ?隊長さん、待っていると思うけど?)


「シュウミン、ちゃんと捕まえておけよ!」


「う、動きが速かったの!」


「私の時はじっとしていたぜ?若サマはプチトマトより高級メロンが好きらしい」


「い、い、い、言ったわねええええええっ!!!!!」


「言ったがどうした!高級メロンの谷間で溺れてみる?」


「くっ!」


(だから仲良くしようぜ?)


 カリカリ。


 さっ、と若を掴むドリ。


「行こう!若サマ!私が連れて行ってやる!」


「ああ、私の若さまっ!」


「あたしのだっ!」


(どっちも違うよっ!)


 到着した会議室は騒がしかった。


(お?シュウミン、まだみたいね)


(間に合ったね!)


 副長と隊長が入室すると、しん、と静まった。

 自然と列び始める隊員達。


 若はドリの腕を離れ、隊長の元に向う。


「あっ!?わ、若っ!」


(ドリ!なんで放したのよ!)

(だから素早いんだよ!)


 森の中のように乱立している足。

 その隙間を風のように駆け抜け、お目当ての足を見つける。


(怪我、大丈夫かな?)


 隊長の足下でスリスリをする白黒ネコ。

 ネコバージョンの時は、ネコとしての本能が少なからず影響するのだ。


「摘まみ出しますか?報告の邪魔では?」


 副長が冷たい眼で尋ねる。

 周囲の目が白黒ネコに集まる。

 白黒ネコはじっ、と隊長を見上げている。


 ……あっ!?……


 その場にいたほぼ全て者がビックリする!


 白黒ネコはびよん!と飛び上がり、隊長の腕に飛びついたのだ!

 肘を曲げ、機敏に受け止める隊長。


 白黒ネコは手に巻かれた包帯を鼻でツンツンと突く、それはまるで、傷を確かめているように見えた。


 優しい目で白黒ネコを見つめる隊長。

 そしてその目が感情を消し去った眼に変わる。


 いや、その奥底には怒りの感情が深く沈んでいるようだ。


「皆に報告がある」


 そう言って副長に白黒ネコを手渡す隊長。


「賊ゴーロ・ゴロの件、こいつらが臓器売買がメインという話しは住人には伏せるように言ったが、守られているか?副長!」


「はい、問題なく」


「では続報だ、本部からだ」


 整列し静かに身を引き締める隊員達。


「護送中の窃盗団及び護送任務の第四国境警備隊が、ブリザード・ワームの襲撃に遭った」


 ……!……


 会議室に動揺が走る。


「静かに」


 一言告げる副長。


(静かにしているよ、いい子だろ?オレ。この副長サン、クールだな……こいつも抱っこがうまい。一角パンサーで慣れているのか?)


「生存者は第四国境警備隊の副長以下3名のみ、他は全員死亡」


(ああ、あの件か、ゴンザが駆けつけたときはもう)


(はい、襲撃の場所が遠すぎました。残念なことです)


(虫使いと、結界専門の呪符部隊が相手じゃ無理がある。彼奴ら魔力の流れを変えるからなぁ場所の特定が難しい)


「本来なら、護送は我々の任務だった。諸君も知っての通り、第四との模擬戦で我々は一勝もしたことが無い、この意味、分かるな?」


 ……。


 苦悩の表情を浮かべる隊員達。


「我々が護送していたら、おそらく誰一人として生き残ってはおるまい。そこでブリザード・ワームと遭遇したとき、どうするかの命令書が届いた」


 隊長の眉間に深い皺が刻まれる。


「ブリザード・ワームと遭遇した場合、虫使いの存在が疑われる。したがって隊長以下副長は報告のため結界外に赴き騎士団に連絡せよ」


 もぞもぞと副長の腕の中で動く白黒ネコ。


(……おいおい、部下は見殺しか?こいつらじゃ戦っても勝てないぜ、時間稼ぎすら無理だ。まぁお前ら隊長や副長が戦っても結果は同じだぞ)


 若の眼には全滅する姿がありありと見える。

 それは、雷帝の異名を持つ戦士の正確な分析結果だ。

 報告書を横からチラ見する若。


(ふーん、書いてあるのは今の一文だけだ。どう思う?ゴンザ)


(それほどブリザード・ワームは脅威ということでしょうな)


(残り何匹だ)


(成虫は2匹、幼虫は無数に湧いていましたからなぁ。虫使いを先に始末すると暴走しますし、厄介な相手ですぞ)


「この命令書、要は我々二人を報告のために逃がせと言うことだ」


(命令ならば遂行が当然。まぁオレは強ぇから、命令されねーけどな。したくもねぇや)


 そうは思ったが、白黒ネコは少し悲しくなった。


 すると、そこにいる全員がザッ、と足並みを揃え、敬礼をする。


(……こいつら、それでいいのか?)


登録、高評価、リアクション、ありがとうございます。

たいぎゃな嬉しかとよ……すみません、お国言葉が出てしまいました。

このリアクション、以前は無かったシステムですが、面白いですね。

お返事をもらったみたいで、読者さまを身近に感じました。

今後もよろしくお願い致します。


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