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赤い目の少年冒険譚  作者: MAYAKO
第一章 四月世界
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第12話 人気者でいこう     

おはようございます。

昨日はバイト疲れで爆睡し、動けませんでした。


 隊長は、手慣れた手つきであっという間にねこを、お姫さま抱っこ状態にした。


(わっ!?な、なんだこいつ!……だ、抱っこうめぇじゃねーか!)


「ふん、軽いな、それに一角よりもかなり小さい。だが爪は一人前のようだ」


「た、隊長!」


「どうした?ドリ?」


 満足げにドリを見返す隊長のエリ・ナリ。

 白黒ネコを抱っこし、ゴキゲンである。


「ち、血が!」


 手の甲にぽつん、と膨らむ血。


「ん?なに、たいしたことはない(それより、この可愛さは何だっ!?)。この者、ぎりぎりで爪を戻した(ぬあんて優しいネコだっ!君はもう私のモノだ!この手は放さんっ!)。飼いネコだろうか?野生ではないな(一角の子供も可愛いが、これはこのサイズで成獣か!?)、人に慣れているような気がする」


「爪の傷は悪化しやすいです、一角とおなじでしょう?手当を!」


「そうか?」


 集まってくる第六国境警備隊の隊員達。

 ほとんどの者達が帯剣して隊長の元に集まる


 ……何事です……

 ……騒ぎが……

 ……点呼!……

 ……あれ、雑貨屋のヌッコじゃね?……

 ……いや、居酒屋で見たぞ、名前はシロだったかクロだったか……

 ……公園ではチビ共にライちゃんと呼ばれていたぞ……

 ……同じヌッコが沢山いるのか?……

 ……ここはネッコの天国かっ!って違うだろ!……

 ……同じネコが、別の名前で呼ばれているが正解だろう……


「副長、皆揃っているようだな?」


「はい、42名、揃っているようですが」


「明日の報告を今日に切り替える、皆会議室に集合だ。伝えろ」


「はい……分かりました、隊長」


「ん?どうした」


「その隊長、ねこをお渡し下さい、それでは治療ができません」


(え?やだ)


 隊長は、上記の言葉を呑み込んだ。


(このままでも、よかろう?)


 更に上記の言葉も呑み込んだ。


 嬉々として手を差し出す周囲の者達。

 そう、この部隊は一角パンサーを乗獣にしているので、基本、動物好きが多い。

 それもネコ派が圧倒的多数である。

 若葉街は犬派が多いのだが、この街は好きというより、家族の一員と捉える者が多い。


 そんな場所に、スノーホワイト国では珍しいとされている珍種のネコ。


 みんな、触りたくてしょうがないのだ。


 白黒ネコは隊長を見つめる。


「ん?どうした?」


 隊長のその目はとても優しく、隊員達は白黒ネコより隊長に眼が引きつけられた。

 誰にも見せたことがない、その表情。

 それは部下の前では決して見せることがなかった表情だ。

 

 ……おい、なんかオレの萌えレベルが上がった気がする……

 ……気がするだけだ……


「ナアーン」


「!?」


「ニャーン」


 (しき)りと鳴き出す白黒ネコ。


「どうした?ああ、怪我か?痛くないぞ」


 ざらりとした舌で指をペロペロと舐め、傷口舐めようとすると、そっと隊長が止めた。


「血はだめだよ。私達一角ライダーは血で一角と契約をする。私の血を舐めてはいけない」


「にゃーん」


(そうなのか?そうは言っても、俺は敵意の無い者を傷つけちまった……)


(若、事故ですぞ。『借り』になさいませ。彼女は戦士、いつか返せますぞ)


(……そうだな、『借り』で思い出した。俺はこいつにとんでもない『貸し』があった)


(ふふっ)


(笑うな!ゴンザ!そのうち見せつけてやるんだっ!そして報告書!訂正させ、書き直させてやるぜ!ちきしょうっ!)


(わ、若!それはなりませぬぞ!乙女に見せつけるなど!)


(けっ!聞こえねぇよ!)


 そんなやり取りも知らず、そっとドリに白黒ネコを渡す隊長。

 

(くっ、部下が見ている……ここはクールにさりげなくっ!)


「思ったより柔らかい、強く掴むと嫌がるようだ。一角とは見た目は似ているが違う」


「わ、分かりました!」


 そう言って、足早に去るドリ。


「ヌッコ、じっとしていてね。もう!っみんな出てくるんだから!隊長の裏切り者!自分だけチャッカリ制服着ちゃって!」


 ガウンの胸元を隠すように白黒ネコを抱きしめ、部屋へ直行するドリ。


(お、おい、そんなに押さえつけるな!また傷つけるかも知れねーじゃねーか!)


(若っ!乙女の胸元に爪傷はダメですぞ!)


(しねーよっ!そんなこと!)


「ド、ドリ!待ってよ!」


 こちらも小走りのシュウミン。


「なに?シュウミン?」


「緊急会議だって!服装は自由でいいけど会議室に集合よ!」


 そう言って手を差し伸べるシュウミン。


「何この手?」


「だっこ、ネッコ」


「やだ」


「けえちぃいいっ!よこしなさいよ!」


(緊急会議?なんだろ?聞いていくか)

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