プロローグ・7「過去その4」
◆プロローグ・7
「過去その4」
魔神。
それは魔族の最上位に君臨する
恐るべき力を持った伝説の魔族。
バリッバリバリバリバリッ!!
雲が裂け、無数の雷球が
イナズマを放つ。
それを押しのけるように
ふたつの輪郭が現れた。
ひとつは巨大な獣人の様な姿。
もうひとつは緑色の
美しいドレスをまとい
仮面をかぶった背の高い
女性のような形。
大魔女ルワラはその者たちが
何かをすぐ理解した。
(魔神バルデス、魔神ベルカ!!)
巨大な獣人がゲラゲラ笑った。
(ルワラが相手か!面白ィイ!!)
仮面の女性はうなるように声を出す。
(イマイマシイ女魔法使いめ!)
ルワラは咄嗟に身がまえた。
魔力の衰えた今の自分では
とうていこのふたりに勝ち目はない!!
(ルワラ、イノチをもらうぞ!)
魔神バルデスが向かってくる。
ゴオオオオオオッ!!!
轟音と共にその右手を振り回した。
その一撃を
かろうじて魔剣で防ぐ。
だが衝撃までは防げない。
魔女は広場の壁まで吹き飛んだ!!
ドガッ!!
石壁に叩きつけられる魔女。
そこに待ち構えていたのは
緑色の魔神ベルカだった。
(あの時の屈辱は忘レナイよぉぉっ!)
魔力で作り出した
5本の小さな剣を
ルワラに向かって発射する。
小さなエネルギーの刃が
弧を描いて魔女を追いかけてきた。
まずい、何本かは当たる!
ビジョンが見えた。
(いや、見切ってみせる!!!)
ルワラは強引に身体をよじる。
4つの刃がかすめていった。
だが5つ目は直撃コースだ。
刃が目の前に迫る!!
とっさに前にかがむ。
バキンッ!!
乾いた音とともに
魔女の左のツノが砕けた。
軽く脳がゆさぶられる。
(クッ!!)
歯をくいしばりながら
かがんだ時に
隠しポケットから取り出した
小さな丸薬を口に放り込む。
カリッ
奥歯で噛むと
中から液が染み出した。
魔女の姿がうっすらと消えていく。
透明化の丸薬ポーションだ。
これて少しは攻撃を避けやすくなる。
(こんなもの、あいつらには
子供だましだけどね)
生温かい感触が額をつたう。
ツノが砕けた時、
頭に傷を負ったみたいだ。
わかっている。
このままでは
自分も子供たちも助からない。
・・・やるなら、今日だ。
覚悟は決まった。
大魔女ルワラの瞳が
満月のようにギラギラと輝き出した。




