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プロローグ・5「過去その2」

◆プロローグ・5

「過去その2」


石のように固まった

記憶の映像が乱れて消えた。


静寂と灰色の時間が過ぎる。


やがて


再び世界が揺れ、

新たな映像が浮かび上がった。


そこは大きな広間。


その中心の古い玉座に

大魔女ルワラは座っていた。


あれから

幾年月が過ぎたのだろう。


彼女には何も無かった。

ただ娘ラキの思い出の残照が

心のなかにちらつくばかりの日々。


(まま、しあわせになって)


その言葉が心に深く刻まれている。


魔女は弱っていた。


容貌は昔と変わらず

若く美しいままの姿。


魔族としての2本角は以前より

若干長くなっているだろうか。


だが、確実に弱っていた。


魔法の威力は

全盛期の半分にも満たない。


強さに対する執着が

消えてしまっているのだ。


ある日の夕方。

外界では

空が薄暗くなり始めたその時。


広間の端の暗闇が歪んで、

渦を巻いた。


ぎゅううううううんん


ひとつの影が出現する。


それは魔族の中でも

特に残虐非道といわれる

「闇の一族」のひとりだった。


冬の雨のように冷たい笑い声が響く。


(ク、ククククク)


(大魔女ルワラともあろうものが

ずいぶんと大人しくなりましたねぇ)


そいつは言った。


(最近では、ヒト族なぞと

仲良くしているそうじゃありませんか)


禍々しい顔がより残酷に歪む。


(ツミホロボシのつもりですかぁ?)


(それとも、

ただの気まぐれでしょうか?)


魔女ルワラは

闇のほうを見ずに言った。


(オマエには関係のないことだ)


その影は少しおどけたポーズをとる。


(あらぁ、そんなこと言って

いいのかなぁ)


(ヒト族の村なんて

アタシたちからすれば

アリンコみたいなものだもの)


こいつ、何を言ってるんだ?

まさか・・・


(おやぁー?あせってきましたねぇ!

大魔女ルワラ)


目の前に白いモヤが立ち込め、

そこに映し出される情景。


(キサマ!)


魔女が吠える。


映し出されたのは、ヒト族の村。

ルワラが出入りしている

サマランの村だ。


いま、まさに村人たちが闇の一族に

襲われようとしている。


つっと、魔女の手が動いた。


ドンッッ!!!


広間の一角に爆発が起こる。


(クククッ当たりませんねぇ)


闇の一族の声がする。


(アタシはここにいないのですから)


反応は無い。


部屋中に広がった煙が消えると

そこに大魔女の姿は無かった。


(転移の魔法ね、村にいったか)


(さて計画どおりと、ククククク)


闇の一族の姿が

不気味な笑いとともに薄く消えてゆく。


(これで、大魔女もオシマイですね)

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