恋話 中編
『何で泣いてるの?』
香ちゃんは驚いた様な困った様な顔で私の顔を覗き込む。
「だって……香ちゃんに……会えると思わなかったから……2年以上振り……だよ……」
私は言葉を詰まらせながらそう話す。
『2年……』
「香ちゃんは……ここで何……してるの?」
『……人捜し』
香ちゃんの声は少し暗い。
「人捜し……」
『時間大丈夫?』
「え? ……そうだ!帰らないと!」
私はスマホで時間を確認して焦る。
『……』
「香ちゃん……また会える?」
『会え……る……よ……多分。大体、金曜日のこの時間にここにいるから』
「そうなの? じゃあまた来週……必ずね!」
『うん。来週……』
私は香ちゃんに手を振るとその日は急いで家に帰った。
次の週末、金曜日。
私はドキドキしながら先週と同じ時間にあのコンビニの前に行く。
「香ちゃん!」
先週と同じ場所に香ちゃんは自転車に股がってそこにいた。
『律……』
それから私は会えなかった2年間の話を香ちゃんにした。香ちゃんは私の話を頷きながら静かに またに笑ったり『それは違くない?』と私の言動を注意したりしながら聞いてくれる。
「香ちゃんはどう? 新しい友達とか出来た?」
『私は……あまり……気の合う人はいないかも。やっぱり律は“特別”だったかな』
「そう? 会えて無かったけど親友?」
『うーん……親友ってより……心の友達の方の心友って感じ』
「心の方の心友……心で繋がってるって感じで良いかも! うん。これから私達は心友ね!」
それからも週に1度、金曜日の夜に私は香ちゃんに会いにコンビニの前に行くのが楽しみになっていた。
そんな週に1度の立ち話が2か月も経とうとした、もう直ぐ夏休みと言う夏のある金曜日の深夜。
私は片思いの話を香ちゃんに相談していた。
『夏休みに入ったらなかなか会えないよ? その前に告白したら?』
「ええ……でも……振られたら…………」
私は煮え切らない言葉を呟く。
その時、私達の横を1台の自転車に乗った人が通り過ぎた。彼は私達の方をチラリと見て通り過ぎる。
『…………』
香ちゃんは彼の顔を見て黙ってしまった。
「気まずい……でしょ?元彼と会うの」
『別に……』
「智幸は気まずいから素通りしたんじゃない? あれから……高校に入ってから私とも話さなくなったし……香ちゃんの事で私とも話すの避けてる気がする……」
『それ、私関係ある? 2人は元々幼馴染みだったんだから私と関係無く話くらいしたら良いのに……』
「別に……智幸と話す事無いし……」
『ねぇ、律の好きな人ってサッカー部だったよね? 智幸もまだサッカー続けてるでしょ?』
「うん。続けてる」
『それなら智幸に告白手伝ってもらったら?』
「それは無理だって……本当に高校に入ってから話してないんだって。接点無いし……何て話し掛けたらいいか……分かんないよ」
そんな話をした次の週の月曜日の放課後、隣のクラスのはずの智幸が私を呼び止めた。
「あそこ……あんな場所で何してた」