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呼ぶ声
駅のホームで、発車してる電車に触れるか触れないかの爺さんがいた。
グロいのは勘弁や。
死ぬんやったら一人で見てないとこで死んでくれ~、と思ったが違って酔っ払いだった。
馬鹿にしやがって、とか大声で管を巻き始めたので、足早に距離を取った。
この辺もヤバなったなと、身をもって実感する。
「やってられへんわ」
上司がボソッと聞こえるように吐いていく。
「off course!!」
って言い返したくなるテンションじゃなくて良かった。
「××××」
仕事中、後ろから寂しそうに呼び止められる。
振り返ると誰も居ない。
横の同僚が訝しがるようにこちらを見る。
気にせずに仕事に戻る。
そうかい。
もうすぐかい。
そんな声変えてまでして気を惹こうってのかい。
お前も仕事とはいえ難儀だねえ。
へっ。
随分と間が空いたなあ?
3ヶ月ぶりぐらいか?
どうせなら初恋の人にでも化けりゃいいのによ。
俺は最近元気だぜ?
喜怒哀楽がようやく出来てきたってとこだ。
ホントにお前仕事してるか?
失職させてやろうか。
ふん。
勝負や。
50年ぐらい待っとけや。




