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枯れ尾花
人とすれ違い違和感を覚え振り向く。
人ではなく、綺麗な見た事の無い花だった。
少し得をしたような気がして近寄ってみる。
するとボヤけて目を凝らして見ると、枯れた雑草だった。
三層にも分かれて視えた。
幽霊の正体は、綺麗な花と見せかけて雑草でした、か。
すごく損をした気分で帰った。
緑の看板を仕舞うとこのマスターを見かける。
僕のコーヒーの缶をビール缶と見間違えた人。
(そんなに昼間っから飲んでフラフラしてる顔してます)
俺と同じぐらい背が曲がった年配の人。
なんだか恥ずかしくて挨拶も出来なかった。
滅びの美を纏った人だった。
人のこた言えないけれど。
騒がしかった時代も終わり、年を食ったなぁと実感する。
ああ、そうか。
俺の三層の意識が見せたモノだったか。




