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アロハ・オエ
昔から鼻が悪い。
いつも詰まっていたから、大体臭いが分からない。
食の美味い不味いの臭いは分かったけども、それとは別に。
よくわからない匂いがきくようになった。
押し付けがましい、甘ったるい匂いやら、
死に近い匂いやら、
ひどく有り難い匂いやら、
なんだか普通のやつとは違う匂い。
難を避けるのに重宝する。
散歩で海岸まで出る。
姿は見えど、アオサギの鳴き声を聴く。
まばらな人出。
雲一つ無い快晴、青い空に薄っすらと下弦の月が見える。
こんな早い時間にも月が見えるのは不思議。
こないだは赤い月やし。
ススキが音もなく揺れている。
商店街。
パチンコを老夫婦が楽しげに打っていた。
微笑ましい?
突如として、アロハ・オエが聴こえてくる。
イヤホンを取ってみるも、無音。
久しぶりの怪音。
いい音だったので、スマホで聴く。
アロハ・オエって和訳、さようならなんやね。
また芝居がかったメッセやね。
家の玄関に蜘蛛が一匹。
久しぶりの同胞に笑みが湧いた。




