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水面桔梗
雨雲が一面を覆う。
珍しい。
出歩く時に降られるのは何年ぶりか。
ここぞという時の為に買っといた青の傘をさす。
いい色でお気に入り。
お値段も安く安息地で買った物だ。
いかんせん出歩くと晴ればかりなので中々出番が無かった。
コンビニに出向く。
あの子もまだ働いているのだろうか。
新学期だし、どうなるやら。
帰り道に、奴の隼を見かける。
雨雲の中、びゅん!と赤い羽が雨を切り裂いて駈けていった。
雨といい、珍しい尽くしだな。
幸先良さそうた。
と思った先に、止めの三尺。
灰色のパーカーで顔が見えない人間から、踏み切りの遮断機が、ぼぅっと見えた。
こら、大人しくしとこう。
パチンコはまたの休みにしといて。
不運と踊る趣味は無い。




