夢現
「はれ?どうした婆ちゃん。そんな若い姿でセーラー服まで着て」
「早う朝ご飯食べなさい。弁当もちゃんともってって」
朝も早くから婆ちゃんに起こされて仕事へ行く。
朝からお茶漬けというのも中々重い。
通勤途中でサラリーマンの拳から光が出て来て大仰に避ける。
リアリティがあったので焦る。
周りからは変な行動と見られるので恥ずかしい。
また血を吐く。
最近多いな。
今日はアタマがぼうっとして多幸感があっただけに残念なスタート。
ぼんやり行きたかったが、切り替えてパワーホールを聴きながら気持ちを変える。
前半戦は暇でゆっくりした。
休憩時間に「くちべた食堂」を買いに行く。
吐き気も無い。
スタートに比べれば上出来のコンディション。
今日は大丈夫かとたかをくくったが、後半戦で死に目を見る。
アタマを押さえられた。
上げられたスピードに対応していると、貧血に陥る。
一人上がる。
余裕ぶった顔を崩さずに、天命に任せた。
今来られたら対応出来ない。
足が前に出ていかない。
ふらふらして死にそう。
死なないけど、倒れても不思議じゃない。
神風が吹いた。
止んだのか?
客足は止まった。
周り一辺から嫌な匂いが満ちた。
塩素を巻く。
余り良い感じはしないが、助かったは助かった。
悪運の方か。
帰り道。
着替えたら汗でびっしょりだった。
気にしている余裕も無く気付かなかった。
地上からの冷気が気持ちいい。
雨の匂いだ。
熱い体にちょうどいい。
と思ったら、急に冷え込んできて震える。
体感温度の調整がおかしい。
本格的に自律神経を疑う。
ほら、また黒い影が1…2…3………4体。
何も出来る訳もない。
気だけを抜かずにスマホの音を聴く。
ギャイ、ギャイ。
遠くでアオサギが鳴いていた。




