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白灯桜
行き掛けに、途中下車して本屋を巡る。
探し物はマイナーな新刊だったので、大型書店まで足を運ぶ。
「面白いのになあ………」
職場へ向かう為、再度電車に乗り込む。
…………。
空間制作ってか。
連休の中日だというのに、車両に俺ひとり。
好意的に見れば、エアポケットだか?
さて。
政情不安定で、どんなヤバイのが来るやら。
(ウワァーーーーーッ!!)
聞こえるはずのないさざ波のような歓声が聞こえる。
俺ひとりなのに。
でも悪い気分はしない。
むしろ見送られてる気がする。
よし。
今日はやれそうだ、頑張ろう。
ゆっくりと職場へ向かう。
無念の魂が後ろに続く
周りの生者が道を空ける
異様に汗をかき体温が上がる
指先が橙色に染まる
口元は紫色に変わる
「斤量20キロってとこか」
だいぶダブついたが構うまい。




