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第25話:邪神様の気持ちが分からない!

三人称視点です。



 ──クローがパープルランドへと到着する数ヶ月前、地上のとある都市、そこにファーカラルはいた。邪教のものではない教会の一室に、元上司であるグローカスを地獄から呼び出し、不興を買っていた。



「ファーカラルよぉ、オレを顎で使おうだなんていい度胸だなぁ? くだらねぇ理由だったら分かってんだろうな?」



「……すまん。だが、今動くべきなのだ……断罪神教徒が幅を利かせ、地上での邪教の力は弱体化した。このまま対策を講じなければ組織が消滅するのも時間の問題だ」



「お前の預言者がそう言ってんのか? まぁいい、それでその対策とやらにオレの力が必要なんだろう? それで、オレに何をやらせるつもりだ」



 ファーカラルはしばしの沈黙の後、口を開いた。



「脅迫や利権、軋轢を利用して人を操ることはできなくなる。洗脳も得策ではない……聖女が力を覚醒させた、洗脳の解除も容易だろう……ならば、強引な手段を使う他あるまい……再誕合成を行う、地上の者も地獄の者も……その肉と魂を作り変え、再誕させる。ワレ等の溜め込んだ魔力で兵隊を生み出すのだ。ワレ等のために生まれ、ワレ等のために戦う忠実な下僕を……グローカス、貴殿にはそのための準備をしてもらいたい。都市に術式を埋め込んだ魔蟲のクイーンを設置し、都市、いや国ごと、そこにある命をワレ等の下僕へと変換する」



「……魔蟲……おい、お前が生み出しちまった例の男は、お前の魔蟲改良技術が失敗した結果だろ。懲りずにまたそんなもんに頼るのか? オレ等が追い詰められる原因を作ったヤツの……」



「だからだ。ワレにとって全くの想定外だったからこそ、新たな視点を得ることができた。ヤツが地獄から地上へ出てから、研究を重ね、魔蟲関連技術は劇的に進歩した。それに……最早後戻りなどできない、地獄の実権を握っているのは我らとは敵対派閥の邪神と鉄槌神だ。後戻りのできる逃げ場などない、今ここで、この地上世界にワレ等の完全なる支配地域を得られなければ、ワレ等は滅ぶことになる」



 まるで説教でもするかのようにファーカラルはグローカスに邪教勢力の現状を諭す。上司と部下の関係であったはずだが、今やその関係は形骸化している。ファーカラルの技術と叡智、その力は追い詰められた邪教にとって希望だった。



「──ケッっ、気に入らねぇが、選択肢はねぇ見てぇだからなぁ。いいぜ、苛ついてたところだ。地上のゴミどもを有意義なゴミに変えてきてやるよ。詳細を詰めたら、部下に伝えろ」



 グローカスは悪態をつきながら教会を出ていった。グローカスのその影が見えなくなり、纏う瘴気が感じられなくなった頃、ファーカラルの影から一人の少女が現れた。青と黒の髪の少女、軽装の騎士のような出で立ちで、その手は先端に向かうほど透けていて、硝子のように透けた掌の奥底から、青く揺らめく炎が見えた。



「ファーカラル様、よかったのですか? グローカスは希少な格上に対しても有効な呪い持ちです。使い捨ての兵士にするには少々勿体ないように思うのですが? 戦いの激化が予想される中で、貴重な戦力を失うのは下策だと思います」



「お前は生意気だなバスタァ……これでいいのだ。ヤツの能力は確かに希少、戦闘能力も高い、兵隊として優秀だ。だが、ヤツはどのみち新時代を生き抜くことはできない……あまりに小物、聖女と戦うという意味を……ヤツは理解していない……いや、ヤツだけではないか、誰も、誰も理解などしていない……この世界を牛耳っているつもりの神々でさえな……」



「……答えになっていません。どのみち死ぬからだとしても、何故です? 何故このタイミングで、見捨てるのですか?」



 青と黒の少女、バスタァは思わせぶりなだけで要領の得ないファーカラルの説明に不満を隠さない。子供っぽく頬を膨らませ、口元を尖らせている。



「はっは、生意気だなぁ。お前というやつは……だが……いいことだ。お前を許せることが……お前に苦しみがないことが……ワレは見捨ててなどいないよ。犠牲の優先順位を、順番を、決めているだけ、誰しもが犠牲なのだ。時は来てしまう、望もうと望むまいとな……」



「む~~~~!!!」



 またも答えにならない答えで返すファーカラルにバスタァは怒る。そんなバスタァの頭を、ファーカラルは撫でていた。くしゃくしゃと、子供をからかうかの様に。





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