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第22話:女を期待させてしまった



 青い女の子についていくと、村というには小規模な集落にたどり着いた。集落の住居はやはりここらに生えてる棒きれのような植物や石を活用して作られたものだった。まぁそれ以外あんま素材なさそうだしな。



 そして、他の集落の住人達も肌が青く角が生えている。俺とシャトルーニャのことを不思議そうに見つめている。あいつら、自分たちの種族しか見たことないんだろうな。話には聞いたことあるけど……みたいな感じか?



 青い女の子が他のやつらに経緯を説明すると、長老っぽい青い爺さんに案内役が引き継がれた。



「ささ、こっちですぞ。ラインダーク様! 人間? 外の人が尋ねてきました。ラインダーク様の神殿を建てたいのだとかで」



 集落の奥にある、他の住居よりも立派な家、俺達はそこに案内された。毒の結晶が宝石のように加工されたものが飾られていて、結構綺麗な感じだ。



「え!? 外の人!? だ、ダメダメダメ! うちに会ったらおかしくなっちゃうから!」



 建物の中から女の声がする。なんか……ちょっと可愛い声だな……



「ですが、この者たちはこのパープルランドの瘴気が全く効いていない様子、もしかしたら大丈夫かも……とりあえず試してみましょう! 駄目だったら救助しますので」



 そう言って青い長老は強引に建物のドアを開けた。そしてズカズカと内部に侵入していく。俺達もそれに続く。



「え、えええ!? ちょっと、バジル! うわっ!? にんげ……え? あれ、ん? 聖女? どういうこと?」



 そこにはエッチなお姉さんがいた。腰にコウモリのような羽の生えた、エルフ耳のナイスバディ。集落の他のやつらと似たような感じの角が頭から生えていて、紫色の鮮やかな長髪が目を引くキレイ系のお姉さんだった。しかし、その反応はどちらかというとキャピキャピとした……可愛い感じ?



 おかしい……なんだ? 俺はこの呪いの肉人形に転生してから性欲というものが消えたのだが……今の俺には存在しないはずの、男の象徴が反応したようなあの感覚がある……体温も僅かにだが上昇している。これは……呪い? まさか……



「魅了の呪い……? まさか耐性を突破されるとはな……まぁほとんど軽減されているようだし問題はないが……お前はどうだシャトルーニャ」



「え? わたしは大丈夫ですよ! クローさん効いちゃってるんですか? 魅了って……えッ!? もしかしてクローさん、エッチな気持ちになってるんですか!? それって凄くレアなことじゃないですか!? いや~レアクローが見えて今日はラッキーですね!」



 なんか……生物学者のノリでシャトルーニャに観察されてしまっている。こいつの盛り上がるポイントはいつもズレている。



「あれ? うちの魅了の呪いに耐えてる……? 聖女が耐えるのは分かるけど……この子はどうして……? うちの子供達以外は基本的に耐えられないはずなのに……え!? 待って!? じゃあ、今日はうちの子供達以外とも話せるってこと!? す、凄い!! こんなことがあるなんて……!! うう~、もうずっと諦めてたのに……うううう」



 多分、この美人が命の神とやらのラインダークか……けど、泣き出しちゃったな。



「ああ、すみません。ラインダーク様は強すぎる魅了のせいで、その血を継ぐ者以外とはまともに話すことも、触れることもできないのです。そう神ですら……なのでずっと、我ら青怒鬼族以外と会話することが夢だったのです」



 まだ会話はしてねぇけど……と言いそうになったが、無粋だからやめた。しかし、青怒鬼族か……どう考えても、ラインマーグが神となる前の種族、怒鬼族と関係あるよなぁ……



「神ですらあんたとは話せないか……ってことは本当に、単純な力の強さでどうにかなるレベルじゃないってことだな。基本的な呪いは存在の力が強ければ無効化はできなくとも無視することが可能だからな」



「そうなのよ! うちは生まれた時から力が強すぎて、親とすら触れ合ったことがないのよ! というか……親もうちの呪いで動けなくなって……うちが殺しちゃったんだけど……魅了って普通は自動発動じゃないし、効果は相手が発情したりとかだけど、うちのはちょっと強すぎて、うちを襲うとかそういう発想すらできないのよ。余裕が全て消えて、触れただけで心臓が停止してしまうのよ。心臓の弱い子だったら、近くにいるだけで死んじゃうわ」



 生まれた初手から業を背負いまくってるな……



「あ、うちの名前はラインダーク! サキュバスの女王とハイエルフキングの娘、命の神よ」



 サキュバスの女王とハイエルフキングの娘……? え? ん?



「俺はウナギィ・クロー。邪神に呪いの肉人形にされた元人間だ」



「わたしはラハマ・シャトルーニャです! 聖女で、クローさんの相棒的存在です!」



「相棒じゃありません。友達その7ぐらいの関係性です。調子に乗らないでください」



「しょんなぁ! そんな敬語で距離感出すことないじゃないですかぁ! それに友達その7って……ううううううう!? 上6人はいったい誰なんですか!? わたしに勝ったやつが6人もいるんですか!? 許せません!」



 いや許せよ……地獄時代が300年もあったからな。それを考えたらかなり健闘したほうだろ。



「ううう! 羨ましいよぉ! うちも友達とそういう漫才したいよぉ!」



 ラインダークがこっちをチラチラ見ながら言ってきた。面倒なヤツしかいねぇのか? まぁでも今まで寂しい思いをしてたわけだし、話題を振ってやるか。元々情報収集はしたかったんだしな。



「なぁ、サキュバスの女王とハイエルフキングの娘ってどういうことだ? サキュバスとエルフって俺の記憶が正しければ敵対してたと思うんだが?」



「どういう意味って……そのままの意味よ? うちのお母さん、サキュバスの女王がハイエルフの王を拉致して、ハイエルフの女王から寝取って生まれたのがうちなの。そもそも! うちがこんなに強い力を持って生まれちゃったのも全部お父さん、ハイエルフ達が悪いのよ! 知ってる? エルフは禁欲的でエッチなことを禁止してて、子孫もまるで作らないけど、本当はもの凄いムッツリスケベなのよ? 強すぎる理性で我慢してるだけで、性欲は普通に強いの。でね? ハイエルフはそのエルフ達がむっつりスケベを拗らせ過ぎて進化してしまった存在なの」



「え? そうなの?」



 衝撃の事実が過ぎる。今まであったエルフはクールで気難しくて真面目なヤツばかりだった……もしかして他の者との接触を必要以上に避けるのは、禁欲を貫くためだったのか?



「そうよ! ハイエルフは半分精霊みたいな存在で、精神力や魔力の強さがそのまま強さに直結する存在なの。それでね? その禁欲っていうのは、半精霊にとってはエネルギーコントロール能力に長けるということの証明。性欲が強ければ強いほど、それを制御するための力も要求される……それで、エルフは禁欲のシステムを使ってその力を育ててきたから……ハイエルフの王、一番強いハイエルフは……それはつまり、ハイエルフで一番性欲が強くて、それを滅茶苦茶我慢してた、最強のむっつりスケベだったの! それが、歴代のサキュバスの中でも最強の女王と出会って、ついに耐えられなくなった。お父さんが物凄い膨大な時間をかけて溜め込んだ力が全て、うちを生み出すために解放されてしまった」



 最強のドスケベと最強のむっつりスケベが融合することで生まれた世界最強のドスケベサラブレッド……それがラインダーク……確かにそれだけのことがあればこの強すぎる呪いにも納得できる。だが、なんでサキュバスとエルフの仲が悪いかはこれでわかったな。おそらく歴代最強のハイエルフキングがサキュバスによって殺され、大恥をかかされたわけだからな。しかし、父譲りの最強の魔力制御能力を持ってしてもコントロール不可能な呪い……これ……なんで俺耐えられてんだ? 単に強力な呪い耐性があるからで説明つかないんじゃ?



「なるほどなぁ……まぁ納得だ、色々な……そういやあんたは基本、血族の青怒鬼族以外とは会話できないらしいけど、それって怒鬼族とも関係あるよな? 俺の友達にラインマーグっていう元怒鬼族のやつがいるから気になってさ」



「え!? あなたラインマーグちゃんと友達なの!? そっかぁ、ならあなたに対してはあの子も素顔を見せられるのね。良かった良かった。うん、そうよ。怒鬼族もうちの血族、うちの子供達よ。あ、でも実際にうちが生んだわけじゃないの。うちは人とも神とも触れ合うことができなくて、そんな理不尽な運命に怒ってたの。それで欲求不満が溜まって、うちの怒りのエネルギーが爆発して生まれたのが怒鬼族なの。うちの理不尽への怒りが命を持った、それが怒鬼族の始まり。そんな怒鬼族の中でも、魔法的な才能に長けて私の悲しみを癒やすために生きた者達の子孫が青怒鬼族になった。源流の怒鬼族はどっちかっていうと腕っぷしが強くて、正義感が強い子が多いわね」



 ほーん、実際にアレコレして血族を生み出したわけじゃないのか。まぁ、ラインダークは力が強すぎてその段階に行くのがまず無理だよな。ならラインマーグはラインダークの力を強く発現させたから素顔を晒せないんだろうな。だが、ルーツを聞いて色々納得がいったな。あいつが理不尽を許せなくて、正義感が強くて、顔を隠すのも……



 そして、力が強いのも、ラインダークの命の神の力を物理面で発現させた結果……か。



「ラインダーク、あんたは生まれながらの生き神……か。その……どうやら俺も、あんたと同じく近々生き神になっちまうらしくてな……本当は自分の神殿をこのパープルランドに作りに来たんだ。あんたの神殿を作りに来たわけじゃない。どっかで訂正つもりだったんだけど、どのタイミングで言うべきか迷っちまった……すまん」



「クローくんも生き神に? え!? 本当!? それってものすごく珍しいことよ? うわぁ~すご、ふふ……なんだか運命を感じちゃうねぇー? だって生き神のうちを、これから生き神になるクローくんが、うちを孤独から救うために助けに来てくれた! 絶対結婚する流れじゃん!」



「え……?」



 目を輝かせ、頬を紅潮させて俺を見つめるラインダーク。ラインマーグの先祖だけあって馴れ馴れしいやつだな。体をくねらせ、胸を強調するように、俺を誘惑しようとしている。おそらく、サキュバスの本能がそうさせているのだろう。だが無駄だ、もうお前の魅了には慣れてきたからな。



「ラインダークさん! わたしも居ることを忘れてないですか!? というか、いきなりクローくんだなんて慣れなれしいですよ!! それに結婚!? 会って数分で何言ってるんですか? そもそも運命と言うなら、わたしとクローさんの方が強力な運命で繋がってますからぁ! 知ってます? あ、知らないか。だって会って数分ですもんね! クローさんには人間を愛せない呪いがあるんですよ。でも聖女であるわたしはその呪いを耐えることができる! つまりクローさんがこの世界で唯一愛することのできる人間なんです! 人間を愛せないという呪いに対するピンポイントな例外、ここが運命ポイント高いんですよ! しかも! わたしはクローさんに危ないところを助けてもらったのが出会いなんですよ? こんな危機感も何もない状態とは違って、シチュエーションも運命ポイントが高いんです! わかったかぁッ!?」



 クソ早口でキレるシャトルーニャ。馴れ馴れしいつってもシャトルーニャも大概だよな。運命ポイントとかいう謎ワードも飛び出してきたが、まぁ実際運命的な結びつきで言えば確かに俺はシャトルーニャの方がラインダークより強いかもな。調子に乗られても面倒だからこいつには言ってないが、魂の停留場でファーカラルからこいつの前世の魂を助けたあの時から、その縁がずっと、今までに繋がってここまで来たんだからな。



 それで言うと……ファーカラルとラインマーグも同じように俺との運命的な結びつきは強いのかもな……





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