9話 8回目 & 9回目
メンタルを強くしたい
《オォ!シトヨ! シンデシマウトハ、ナサケナイ!》若干聞き取りにくい声が聞こえてきた。
邪神だ。
俺達は一瞬で焼け落ちたのだろう。周りが非常に明るくなったと感じたが、その後の熱さや痛みはあまり感じなかった。それだけ火の廻りが早く、それだけ高温で強力だったんだろう。それよりも父親だ。
《コレカラモワレヲタノシマセヨ》
町を火の海にさせるくらいのドラゴンだぞ?なんでそんな危険を冒してまでドラゴンの卵なんかをとってきたんだろうか。分からん。食べさせたかったなんて言っていたが、分からんから、父親に出来るだけずっとくっついて、ドラゴンの卵をとりに行くきっかけを知らないと。ホントなんでかな。
ドラゴン…ドラゴンかぁ…
ーーー
6歳になった。出来るだけちょこまかと父親の後についていき、あまりにべったりだから、甘えん坊さんねー。なんてしょっちゅうからかわれる。ドラゴンの事なんて言えんし。言っても何も信じてもらえないし、とりあえず、からかわれたら、とうさん大好きー!なんて言って誤魔化した。言ったその後の父親が、デレデレしてポンコツ化したのは少し意外だったけど。
そんな日々を過ごしてた、ある日の深夜、大きな声が近くで響いた。あまりにうるさい声や音で目が覚めた。
『食い物を寄越せ!金目の物は俺達のだ!全部俺らが有効利用してやるよ!』
下品な笑い声と共に嫌なニオイが漂い、あちこちで叫び声が聞こえてきた。こいつらの事を忘れてたー!あー!なんで忘れてんだよ!えーい、後悔と反省は後だ。父親を探さないと、どこだ?ひとまず、家の中を見回したがいなかった。
ならば、外で反撃してる筈だ。家の外に出ようとして出入り口を邪魔している家具をどかし、外に出てみると、あちこちで盗賊達が村人を襲い、荷物を略奪していた。
キョロキョロと周りを見ていると、父親が盗賊を斬り倒していた。
「とうさん!」
叫んでから駆け寄ろうとしたら、背中から何かがぶつかってきた。衝撃で下を見るとお腹から何か光るモノが出てきてる。なんだコレって思考停止してると、父親が叫びながら駆け寄って来ようとしている。
背後からの下品な笑い声があまりに大きく父親が何を言ってるか分からない。わからない。ワカラナイ。
《オォ!シトヨ! シンデシマウトハ、ナサケナイ!》
どうしたらいいんだ?ドラゴンに父親、盗賊。あとなんだったかな?ゴブリンや冒険者ギルドとギルドマスターもだったか?まだなにかあるか?誰か教えてくれ。
《コレカラモワレヲタノシマセヨ》
あれもこれもじゃ無理だよ。覚えきれない。6歳と15歳じゃ間隔が空きすぎてる。それに1歳からのスタートだからメモとかで記録をしたくても何も出来ない。相談できる相手が必要なのに、相談できる相手が自分しかいない。並列思考とか、並列意思みたいなのは?ナビゲーター!はぁ、やっぱり無い物ねだりしても意味無いよな。100回くらい周回する気迫がないとダメなのか?そんな超人じゃないよ。どっかで廃人になるよ。
ーーー
5歳になってある程度動き回れるようになってから、行商人と一緒に何処かへ行くのをかろうじて思い出したが、どの時の行商人だったかまでは思い出せなかったので、行商人が来るたびに父親と商品を見る口実に話をしていた。そんなある日、来ていた行商人が隣村までなら一緒に行ってもいいって言ってくれた。そうだ。この時のこの人だ!早速、両親から許可をもらい、行商人と一緒に隣村にいく事にした。
隣村に行く途中、道の両側に立ち並んでる木の向こう側から矢が飛んできて盗賊の襲撃があった。飛んできた矢がいくつも刺さり、あっさりと殺された。
毎回隣村に行く時は父親に未然に防いでもらってたから、ここでどうやって殺されてるかを忘れてた。
《オォ!シトヨ! シンデシマウトハ、ナサケナイ!》
若干聞き取りにくい声が聞こえてきた。
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死亡歴
5歳…盗賊(街道)
6歳…ゴブリン
6歳…盗賊(村内)
6歳…???
8歳…自殺
6歳…ギルド職員?
15歳…ドラゴン
6歳…盗賊(村内)
5歳…盗賊(街道)